2025年3月18日(火)
主張
企業・団体献金
温存理由に見る自民党の堕落
「禁止より公開が大事だ」―政治をゆがめ、国民の参政権を侵害する企業・団体献金を温存させようと自民党が悪あがきをしています。
企業・団体献金のあり方について3月末までに与野党で結論を得るとされているもと、自民党は禁止に一切踏み込まない政治資金規正法改定案を国会に提出しました。政党ごとの企業・団体献金総額や年間1千万円超の献金をした企業名を公表すると言いますが、「公開強化」の名にも値しない内容です。
法案提出者の小泉進次郎・自民党政治改革本部事務局長の温存理由には驚きます。
■個人献金努力放棄」
「企業・団体献金の禁止が通ると、政党交付金と個人献金の二本立ての運営になる。しかし思ったほど個人献金が集まらないと、日本の国会議員は3人の(公設)秘書とスタッフで運営する政治になる。これで政治の活力を高め、国民との接点を持つ形になるとは思えない」
▽政党助成金と企業・団体献金にどっぷりつかり国民から浄財を集める努力をはなから放棄する▽賄賂性を帯びた企業・団体献金を「国民との接点を持つ」資金とゆがめて描く▽その献金がないとまともな活動ができないと脅す―主張です。
石破茂首相は「公費(政党助成金)丸抱えの政党は政党活動に権力の介入を許す余地が出る」と“収入構成のバランス”を持ち出し企業・団体献金禁止に反対しています。
「権力の介入」を受けるどころか権力を行使しているのが自民党です。“バランスが悪い”と企業・団体献金を続ければ、それによって権力の行使は大企業優先に大きくゆがめられてしまいます。
日本共産党は企業・団体献金全面禁止法案と政党助成法廃止法案を参議院に提出(11日)。企業・団体献金も政党助成金も一切受け取らず、党費や「しんぶん赤旗」の購読料、個人からの寄付などで資金を賄い、国民と結びついた財政活動を実践しています。個人献金であっても巨額のカネが動くことをなくすため、共産党案では「個人による寄付の上限額引き下げ」も盛り込んでいます。
■企業献金の禁止を
自民党は企業・団体献金禁止をめぐる国会の議論もねじ曲げています。1999年成立の改定政治資金規正法では政治家個人への企業・団体献金は「禁止」されたが、政党・政党支部については同法の付則で「見直しを行う」となっており、「禁止」は求められていないというのです。
しかし、首相の諮問機関の選挙制度審議会は61年の第1次から90年の第8次にわたって「企業・団体献金の禁止」「政治資金は個人献金に限る」と答申してきました。「見直し」の趣旨が、企業・団体献金を禁じ個人献金に移行することなのは明瞭です。
自民党が持ち出した企業・団体献金の温存理由は、政党としての堕落を自ら示すだけです。政党は何より国民の中で活動し支持を得て、その資金をつくることが基本です。
日本共産党など衆院野党5党・会派は13日、企業・団体献金禁止で一致。その実現に全力をあげます。