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2025年3月17日(月)

主張

中小企業の春闘

賃上げへの責任果たす政治へ

 大企業の春闘集中回答では、「満額」と報じられた昨年と変わり、要求を下回る回答が相次ぎました。実質賃金はこれまで3年連続マイナスで、30年間もの長期にわたり低下傾向です。ピーク時の1996年から年収で平均74万円も減少しています。

 物価高から暮らしを守り、内需を増やして経済の低迷から抜け出すには昨年以上の大幅賃上げが必要です。特に求められるのは雇用の7割を占める中小企業の賃上げです。最低賃金を早急に全国一律で1500円に引き上げるなど大幅アップが必要です。

 そのためには、過去30年で純利益を16倍にし、539兆円にも上っている大企業の内部留保を賃上げと下請けの納入単価の引き上げに使うことが不可欠です。

■価格転嫁への対策

 赤字企業でも支払わなければならない社会保険料の事業主負担の減免など、大企業の内部留保の一部を使い中小企業へ公的支援をすることが求められます。岩手県、徳島県、奈良県などが中小企業の賃金引き上げへの直接助成に踏み出しました。本来、国が率先して行うべきです。

 中小企業の賃上げには、価格転嫁対策の抜本的強化も必要です。下請けという圧倒的に弱い立場におかれている中小企業は、高騰する原材料費や賃金引き上げのための原資を元請け企業への販売価格に転嫁するどころか、単価たたき、違法な引き下げを強要されています。価格転嫁のための実効ある対策が必要です。

 ▽告発待ちにならず大企業への定期的調査や違反が疑われる親企業への立ち入り調査を行う▽優越的地位の乱用や下請代金法違反の罰金を大幅に引き上げる―べきです。

 公正取引委員会が下請法違反で再発防止を勧告したのは2023年度13件で氷山の一角にすぎません。立ち入り検査等の強い権限がある専任の下請検査官は公正取引委員会で122人、中小企業庁・経済産業局で57人にとどまっています。増員が急務です。

 違法行為による下請け企業の損害額の3倍程度を親企業が賠償する制度の創設など、法令違反が「割に合わない」ようにすることが必要です。親企業に原材料費、賃金引き上げの協議に応じることを法律で義務づけるなどが求められます。

■非正規雇用の保護

 日本の非正規雇用者は、この20年で約1・4倍に増え労働者の4割を占めています。日本の低賃金構造をつくる大きな要因です。

 日本共産党は「非正規ワーカー待遇改善法」を提案し、▽不当な解雇・雇い止めをなくして雇用を安定させる▽「同一価値労働同一賃金」「均等待遇」の具体化をはかり、正社員、正規職員との賃金、待遇格差を是正する▽フリーランス、ギグワーカーの労災補償、団結権など保護法制をつくる▽公務における会計年度職員・非常勤の賃上げと雇い止めの中止、常勤化―などを提案しています。

 政治が責任を果たすことなしに中小企業や全産業での大幅賃上げはできません。中小の春闘は今から本番です。力を合わせ物価を上回る大幅賃上げを実現しましょう。


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