2025年3月15日(土)
主張
150万円の商品券
金権に無反省 首相の資格なし
裏金問題をはじめ「政治とカネ」が国民の政治不信を高めているなか、石破茂首相に果たして首相の資格があるのか根本的に問われています。
石破首相が昨秋の総選挙で初当選した自民党議員15人に商品券を渡していたことが明るみに出ました。商品券の金額は1人当たり10万円で総額150万円になります。
■開き直り通用せず
商品券は3日夜に首相公邸でおこなわれた会食に参加した新人議員に事前に渡されました。
発覚後、石破首相は「会食の土産代わりで、家族へのねぎらいなどの観点からポケットマネーで用意した。政治活動でなく、政治資金規正法にも反しない」と弁明しています。
政治活動ではないなどという開き直りが通用するはずがありません。
そもそも会食は総選挙で初当選した議員を招いて首相公邸でおこなわれ、林芳正官房長官と橘慶一郎、青木一彦両官房副長官も同席しています。会食自体が政治活動そのものであることは明白です。
与党内からも「耳を疑う」という驚きと批判の声が出ています。商品券を渡された新人議員が商品券を返し、「後ろめたさを感じた」と言っていることからも問題があることはあきらかです。
今国会は、裏金問題の解明、企業・団体献金禁止など、政治から金権腐敗を一掃し、カネの力で政治をゆがめることをなくすことが焦点になっていました。
石破首相は総裁選で、裏金問題に関連して「厳しく反省を求めてルールを守る倫理観の確立に全力を挙げます」と強調していました。
9日に開かれた自民党大会では、「国民の皆さまは政治を信じていない。そのことをひしひしと感じている」とのべていました。
ところが、今回のことを追及されると「法に抵触しない」と開き直り、法の抜け穴探しに終始する姿勢をあらわにしました。
■暮らしと金銭感覚
今回の事態は、石破首相がいかに国民生活とかけ離れた金銭感覚で政治をおこなっているかを浮き彫りにしています。
日々の暮らしを懸命に生きている国民を尻目に、「150万円をポケットマネー」で出して、なんの問題も感じないという金銭感覚は国民とまったく、ずれています。
今国会では、物価高騰のもと苦しむ国民の暮らしをどう守るかが最大の焦点です。
政府予算案は、大軍拡・大企業応援で国民の暮らしに冷酷な予算です。命にかかわる高額療養費の患者負担増も提案されましたが、国民の声に押され凍結においこまれました。年金、介護・医療、教育など各分野で切実な声が届けられました。国民の暮らしに冷たい石破首相の政治とその金銭感覚は無縁ではないでしょう。
150万円の商品券のばらまきは、石破首相がいかに金権土壌に浸った政治家であるかを明らかにし、首相の資格はないことを示しました。カネにまつわる感覚をまひした自民党政治は変えるしかないことをいよいよ示しています。