しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2025年3月12日(水)

主張

軍事費GDP3%

際限ない軍拡要求を拒否せよ

 「日本はできるだけ早く防衛費をGDP(国内総生産)の少なくとも3%にすべきだ」。米国防総省ナンバー3となるコルビー次官候補の議会証言です。日本の2024年の名目GDPは609・3兆円で、その3%は18・3兆円です。25年度予算案の軍事費は過去最大の8・7兆円で、この2倍を超える軍事費を日本に迫る法外な要求です。

■暮らし大きく圧迫

 コルビー氏は4日、国防次官人事の承認に向けた米上院軍事委員会の公聴会で証言しました。日本政府が22年末に決めた安保3文書について「日本の戦略的な転換は非常に重要で大歓迎だ」としつつ、27年度までに軍事費をGDPの2%にしようとしていることに関しては「明らかに不十分だ」と述べました。

 トランプ大統領が台湾にはGDPの10%、欧州のNATO(北大西洋条約機構)諸国には5%を軍事費に充てるよう提案しているとし、「日本がたった2%しか支出しないというのは、ほとんど意味がない」と強調しました。

 しかし、日本の軍事費は安保3文書に基づき異常な膨張を続けています。3文書は、23年度からの5年間に43兆円もの軍事費をつぎ込み、27年度には22年当時のGDP比で2%(11兆円規模)にするとしています。このため、22年度当初予算で5・4兆円だった軍事費はわずか3年で3・3兆円も上積みされました。

 25年度予算案で、軍事費は前年度当初予算比9・5%増なのに対し、社会保障費は1・5%増、文教・科学振興費1・4%増、中小企業対策費0・1%増など、暮らしにかかわる予算はどれも24年の物価上昇率(2・7%)に追いつかず、実質マイナスです。

 コルビー氏の証言は、日本の軍事費を過去最大の2倍超にするため、異常な膨張をさらに加速するよう圧力をかけるものです。そうなれば暮らしの予算がいっそう大きな圧迫を受けるのは必至です。

■増額約束する首相

 石破茂首相はコルビー氏の証言について「日本の防衛費は日本が決める」としつつ、「(GDPの何%かは)必要な積み上げで決まっていく」と述べ、3%に引き上げる可能性は否定しませんでした(5日の衆院予算委員会)。

 報道によると、トランプ政権は2月の日米首脳会談の共同声明に、日本が28年度以降もさらに軍事費を増額することを明記するよう求めていました。共同声明は最終的に、日本が「27年度より後も抜本的に防衛力を強化していく」とし、事実上、軍事費増額を米側に約束しました。

 トランプ大統領は日米安保条約について「米国は日本を守らなければならないが、日本は米国を守る必要がない」と述べ、不平等との認識を示しました(6日)。日本にさらなる大軍拡を迫る口実にされる危険があります。しかし安保条約と日本の巨額な「思いやり予算」によって駐留している在日米軍は、米国の世界規模での軍事戦略を実行する部隊で、「日本防衛」とは無縁です。

 米国の際限のない大軍拡要求はきっぱり拒否すべきです。外交の力で平和を築く努力こそ求められています。


pageup