2025年3月9日(日)
きょうの潮流
6歳の息子が間もなく卒園します。4月1日から、小学校入学よりも前に学童保育に入ります。親子ともにハラハラドキドキ、早くも小学1年の壁に直面しつつあります▼“小1の壁”とは小学校入学を機に、子育てと仕事の両立がこれまで以上に困難になることを指す言葉です。保育園よりお迎え時間が早くなる、登校時間が出勤より遅い…。こんな事情で、仕事や働く条件の変更を迫られたり、パートなどでは採用面接で断られたり。これらを総称して「チャイルドペナルティー」という用語まで▼共働き世帯が7割超と圧倒的に増加し、出産後も保育園に預けてキャリアを継続しようという女性が増えるのは当然です。これまで小学生のいる家庭、とくに母親が抱え込んで、企業が対応しないですませてきた矛盾が、噴き出しています▼なかでも、賃金面でのペナルティーは深刻です。母親の所得は、第1子の出産で約60%減少し、その後7年ほど経過してもほとんど回復しないという研究結果も。男女賃金格差がなくならない要因の一つです▼政府は「子どもまんなか社会の実現を」と宣伝しますが、内閣府などの調査でも、子どもを持つ場合の条件として「子育てできる職場環境」「教育にお金がかからない」が多数です。子ども予算・施策の抜本的強化とともに、賃上げ・労働条件の改善に本気で取り組む以外にありません▼子育てをめぐる“壁”やペナルティーの語もない希望ある社会を一日も早く。「寿退社」が死語となったように。