2025年3月8日(土)
きょうの潮流
「歴史を創る人としての普通の女性の物語である」。半世紀前、女性の権利と国際平和のために定めた国際女性デーについて、国連は後にこう知らせました▼「それは男性との平等な地位を求める社会と社会変革に参加するための女性の古くからの戦いに起源をもっている」と(伊藤セツ著『国際女性デーの世界史』)。その後、女性の権利は人権とした「北京宣言」につながり、いまでは日本をふくむ世界の大きなうねりとなっています▼前進の一方で逆流も起きています。コロナ禍での生活の苦境、戦争による暴力や迫害、経済的な格差と貧困。より深刻な状況に女性は置かれています。差別はさまざまな分野で根強く残り、性被害も絶えません▼日本でも歴史を創る人のたたかいが情勢を変えてきましたが、進歩のない自民党政治が大きな壁に。ジェンダー平等は国際水準から立ち遅れ、雇用や賃金、年金をはじめ、男性優位の風景は日常です▼性別に基づく偏見や不平等のない社会をつくろう―。国際女性デーを前に、若者たちが開いたイベントではそれぞれが行動計画を発表。被災体験者が避難所の環境改善を行政に提案するなど、ジェンダー問題を自分ごととしてとらえていました▼今年は日本が女性差別撤廃条約を批准してから40年の節目ですが、いまだに国連の委員会からは厳しい改善勧告が続きます。やる気があるのかと。各国政府にジェンダー平等の実現を呼びかけた2030年まであと5年。最大の“近道”は政治の変革です。