2025年3月7日(金)
女性の権利揺り戻しも
北京会議から30年 国連ウィメンが報告書
「人権、平等へ力を合わせよう」事務総長
国際女性デー(8日)を前に、UNウィメンは6日、1995年の第4回世界女性会議(北京会議)からの30年を振り返り、報告書を公表しました。ジェンダー平等に向けた各国の取り組みで「重要な前進」がある一方、女性の権利の前進を阻む「バックラッシュ(揺り戻し)」が起きていると指摘。約25%の国から「バックラッシュ」が報告されたと述べました。
1995年の北京会議には、189カ国の代表および各国の女性団体など多くの市民が参加。ジェンダー平等を目指す指針として「北京宣言」「行動綱領」が採択され、その後の各国の取り組みを後押ししました。
報告書は、159カ国からの報告をもとに作成。95年から2024年の間の前進として、▽高等学校を修了する女子の数が男子を上回った▽母体死亡率が3分の1に減少▽議会での女性議員の数は倍加▽世界で1531に上る法改定が行われ、女性差別の法律が撤廃され続けている―などをあげました。また直近5年間では、88%の国が、女性への暴力を根絶するための法律や支援制度を確立しました。
一方、女性への差別は「経済や社会の構造に深く組み込まれ」、女性の権利前進の「制約」となっていると指摘。とりわけ現在世界各地で広がる「民主主義制度の弱体化」が、「ジェンダー平等に対するバックラッシュと手を携えて進んでいる」と警告。「反権利」勢力が、女性の権利に関する長年の合意を「積極的に弱体化」させていると指摘しました。
報告書は、コロナ禍や武力紛争による女性の権利の侵害や、デジタル技術を用いた新たな形態の女性に対する暴力の広がりにも言及しています。
国連のグテレス事務総長は、バックラッシュに言及し、「地球規模で女性の人権が攻撃されている。平等な権利の主流化ではなく、ミソジニー(女性嫌悪)の主流化を今、目の当たりにしている」と指摘。「全ての女性と少女の人権、平等、エンパワーメントの実現のためにわれわれは共に力を合わせよう」と訴えました。








