2025年3月7日(金)
高額療養費引き上げ撤回を
子持つ乳がん患者「心配」
保団連・影響調査を発表
医療費の過度な自己負担を減らすため窓口負担に上限が設けられている高額療養費制度をめぐり、政府が今年8月から負担上限額の引き上げを狙う中、子どもを持つ乳がん患者らが6日、東京都内で会見を開き、家計や子育てへの影響に関する調査結果を発表しました。全国保険医団体連合会(保団連)が実施したアンケート調査をもとに、乳がん患者の8割が働いていることや、約6割が高額療養費制度の「多数回該当」になったことがあることを紹介。患者からは「弱いものいじめだ」などの悲鳴の声が上がりました。
![]() (写真)会見するがん患者有志と保団連の人たち=6日、東京都内 |
保団連は1月末から先月にかけて高額療養費制度の上限引き上げに伴う「家計・子育てへの影響調査」を実施。今回、子どもを持つ乳がん患者を抽出した結果をまとめました。
現在の就労状況について「フルタイム・自営」が48・1%、「時短勤務」が32・7%。また58・3%が制度を1年以内に4回以上利用する「多数回該当」になったと回答。「通院治療中」が64・1%と、全体より15%多くなっています。
保団連の里村兆美さんは、乳がん患者は抗がん剤治療後、数年にわたり高額な薬を飲み続けるなどの特徴があると指摘。「患者本人のみならず、家族や生活にも深刻な影響を及ぼしている」と述べました。
ステージ4のがん患者で高校2年生と中学2年生の息子がいる水戸部ゆうこさんは、「息子2人が同時に進学を考える時期にさしかかる中でお金の心配はつきない」と述べた上で、「限度額引き上げは弱いものいじめでしかない。今すぐにでも撤回を」と訴えました。
3年前にステージ3の乳がんと宣告された板井富子さんは、乳がんに罹患(りかん)する人は現役・子育て世代が多いと指摘。「国民一人ひとりのいのちを守る制度になぜメスを入れようとするのか。いったん、立ち止まってほしい」と話しました。









