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2025年3月6日(木)

「核抑止」論すでに破綻

核禁条約締約国会議の一般討論

 【ニューヨーク=洞口昇幸】米ニューヨークの国連本部で開かれている核兵器禁止条約第3回締約国会議(3~7日)は4日、一般討論を行い、各国の国連大使らが意見を表明しました。「核抑止」論が安全保障上でもすでに破たんしていること、核禁条約の普遍化の促進、核軍縮交渉での女性の役割向上などが強調されました。

 オーストリアは、「核兵器に賛成する人たちの安全保障上の懸念は理解し、尊重する」とした上で、「核兵器は“安全の幻影”を与える」と指摘。核兵器の保有や存在によって「核保有国が増えて軍拡競争が強まり、国際関係の脆弱(ぜいじゃく)性が増し、核兵器の使用や誤算、事故の危険性が高まる」と訴えかけました。

 フィリピンは、核禁条約の参加国を増やし、考えを世界に広げる普遍化が「急務」だと発言。昨年にインドネシア、シエラレオネ、ソロモン諸島の3カ国が同条約に加入したことを「温かく歓迎する。3カ国の取り組みは、核兵器に対する世界的合意の高まりを強め、普遍化に近づける」と強調し、他の国々に改めて加入を呼びかけました。

 太平洋島しょ国のキリバスは、「私たちの国は(米英による)33回の核実験という悲劇的な遺産を経験した」と述べ、「核被害者のための国際信託基金の設立」を最優先課題として改めて主張。太平洋地域では11カ国が核禁条約に加入し、11カ国は「この歴史的な条約を通じて核実験の遺産に取り組むことで一致している」と表明しました。

 コスタリカは、核兵器が「女性や女児に不均衡な影響を与える」と述べ、核軍縮には「ジェンダーに配慮したアプローチが必要」だと主張。「核軍縮・不拡散交渉への女性の有意義な参加は、活動を強化し、成果をより効果的で公正なものにする」と述べました。

 スリランカは、「全ての人々が安全で潜在能力を最大限発揮できる真の世界的安全保障」のために、気候危機や食料安全保障、持続可能な開発といった人類の共通課題に取り組むことが必要だと強調。核兵器の近代化に使う資源を、共通課題の方にこそ振り向けるべきだと訴えました。


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