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2025年2月28日(金)

主張

戦後80年首相談話

歴史に向き合い 責任を果たせ

 戦後80年にあたって、首相談話を発表するかどうかが注目されています。石破茂首相が先の戦争について検証が必要との言明を繰り返しているのに対し、自民党保守派が「首相談話はもう必要ない」と迫っているからです。

■安倍談話のねらい

 石破首相は「なぜあの戦争を始めたのか。検証するのは80年の今年が極めて大事だ」(衆院予算委1月31日)とのべています。林芳正官房長官は「首相談話を発出するかどうかは決定していない」としています。

 一方で、自民党保守派からは「出す必要は全くない。そのための70年談話だ」(小林鷹之元経済安全保障相)などと談話を出すこと自体に反対する声が上がっています。

 政府は、これまで村山富市首相が戦後50年、小泉純一郎首相が同60年、安倍晋三首相が同70年にそれぞれ談話を出しました。

 村山談話は、日本が「国策を誤り」、「植民地支配と侵略」を行ったという歴史認識を明確にし、小泉談話もそれを継承しました。

 村山談話は歴代内閣の公式見解として踏襲されるとともに、日韓、日中、日朝間の政府合意文書にも取り入れられ、国際的合意文書となっています。これを継承、発展させることは日本政府の国際的責任となっています。

 しかし、日本の侵略戦争を美化する勢力は猛反発しました。その中心にいたのが、「戦後レジームからの脱却」をかかげ、「村山さんの個人的な歴史観に日本がいつまでも縛られることはない」(『正論』2009年2月号)という安倍氏でした。

 このねらいでつくられたのが安倍談話です。国際関係も考慮し、さすがに村山談話の全否定はできず、「侵略」「植民地支配」「反省」「お詫(わ)び」などの文言はちりばめています。しかし、日本が「国策を誤り」「植民地支配と侵略」を行ったという歴史認識はまったく語られず、村山談話の立場を事実上、投げ捨てるものでした。

 村山氏も「つまみぐいというよりも、ごまかしだな」「(お詫びに関しても)この段階で打ち切りたいという気持ちが現れている」(『検証 安倍談話』)と批判します。

 事実、安倍氏は「戦後80年の時には、(首相談話を)やる必要はない、ここで止めなきゃいけないと思った」(『宿命の子』)と、ねらいをあけすけに語っています。

 せっかく村山談話を投げ捨てる安倍談話を出したのに、あらたな80年談話などとんでもない、というのが保守派の主張に他なりません。

■平和な世界へ貢献

 いまウクライナ侵略やガザでのジェノサイド(集団殺害)など軍事緊張と分断が広がっています。一方で、ASEAN(東南アジア諸国連合)が軍事的対決でなく、包摂的な平和構想を提唱するなど平和の潮流も発展しています。

 このとき日本が戦後80年にあたり、先の侵略戦争と植民地支配に真摯(しんし)に向き合い、その教訓をふまえ、ブロック対立や軍事対応を広げるのではなく包摂と対話による平和な世界へ貢献する意思を発信することは、歴史への責任です。


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