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2025年2月5日(水)

きょうの潮流

 卵形のレンガ造りで敷かれた距離は4キロほどだったといいます。1884年につくられた「神田下水」です。日本の近代下水道のさきがけで、当時の新聞は成功すれば市民に幸福を与えると報じました▼いまや全国に張り巡らされた下水道管の総延長距離はおよそ49万キロ。地球12周分の長さです。一方で劣化も進み、下水道に起因した道路の陥没は国交省の直近の調べで約2600件発生。8割以上の原因が老朽化だと▼八潮市で起きた道路陥没事故はトラック運転手の救助ができないまま、1週間がたちました。下水管が腐食などで破損し、土砂が流入して陥没を引き起こしたとみられ、穴は直径40メートル、深さ15メートルまで広がっています▼この下水管は40年以上使用され、4年前の県の調査では補修が必要とは判断されなかったといいます。事故をうけ中野国交相は必要な対応を検討、実施していくと述べましたが、それを怠ってきた責任はどこに▼国は下水管の標準耐用年数を50年として、腐食の恐れが高いものは5年に1回以上点検することを義務づけてきました。しかし、調査には人も予算も足りないのが現状です。国土強靱(きょうじん)化や防災の推進をかかげ、過去最大115兆円の予算案を示しながら、社会基盤にどれだけ振り向けているのか▼以前、博多駅前で起きた道路陥没は地下鉄の延伸工事が原因とされ、リニア工事でも各地に被害が現れています。地下へ、もっと深く。人びとの安心・安全を置き去りにして掘り続ける先にあるのは暗闇です。


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