2025年2月4日(火)
論戦ハイライト
カネで動く政治 転換を
塩川議員、石破首相に迫る 衆院予算委
日本共産党の塩川鉄也議員は3日の衆院予算委員会で、深刻な暮らしの危機の中で、所得の低い人ほど重い負担がかかる消費税の減税を求めました。石破茂首相が消費税減税に耳を貸さない背景に、多額の企業・団体献金の見返りに消費税増税や法人税減を要望してきた日本経団連と自民党との関係があるとして、カネの力で動く政治の転換を迫りました。
塩川氏 都連裏金と旧安倍派は同じ手法。調査し報告を
首相 “都議会自民は調査した”と強弁
![]() 総務省「家計調査」(2023年)(全国・2人以上の世帯)から試算 |
「赤旗」日曜版のスクープで発覚した、東京都議会自民党の裏金づくり。日本共産党都議団が明らかにした、2019年の政治資金パーティーでの都議会自民党の内部文書には「都連所属衆参議員46名、1人30枚配布」と記載があります。
塩川氏は、都議会自民党の小松大祐幹事長が「都連所属の国会議員にもチケット販売は依頼している」としつつ政治資金収支報告書の不記載については「確認が取れていない」と述べたことを挙げ、「国会議員に不記載があるか調べたのか」とただしました。石破首相は「都議会自民党が事実関係を調査し、警察当局の捜査にも協力してきた」と答えました。
塩川 誰がいつから、何のために始めたのか、明らかになっていない。全容解明のために国会議員の関与を明らかにすべきだ。
首相 党国会議員への確認と、都議会自民党の不記載問題はリンクしていないが、必要なら話を聞く。
塩川氏は、都連の裏金づくりは、ノルマ超過分は事務局に納めないことが前提で、旧安倍派の裏金づくりと同じ手法だと告発。「都連所属の国会議員46人のうち、旧安倍派などの派閥パーティーの裏金に関与した議員が10人もいる。調査し委員会に報告すべきだ」と求めました。
ところが石破首相は「都議会自民党は調査を行った。国会議員の関与はなかった」と強弁。塩川氏は「聞き取りだけで、まともな調査を行っていないのが自民党だ」として全容解明を求めました。
さらに共同通信が自民党の8府県連で、党本部からの交付金の不記載や過少記載が起きたと報じた問題に言及し、「不記載は法の根幹に触れる悪質なものであり、それすら守れないのは国民に対する背信行為で民主主義の根幹を脅かすものだ」と警告しました。
塩川氏 低所得者ほど重い負担 消費税の減税に踏み出せ
首相 社会保障の財源はどこに
塩川氏 (首相の著書示し)法人税の引き上げで財源を
塩川氏は「暮らしが大変な時に自民党の裏金は許せない」という国民の怒りの声を代弁。コメや野菜など食料品の高騰が止まらず、2024年12月の消費者物価指数は前年同月比で3・0%上昇。価格の上昇が止まりません。
塩川氏は「帝国データバンクによると、25年の値上げは、現状ペースだと4月にも累計1万品目を突破すると予想される。暮らしの先行きは深刻だ」と強調しました。
塩川 物価高騰に苦しむ国民の暮らしに重くのしかかっているのは消費税だ。消費税には所得の低い人ほど重い負担がかかる逆進性があると認めるか。
首相 導入時から逆進性は指摘されてきた。しかし受益の面で、低額所得者に大きな社会保障給付がある。
塩川氏は「そもそも低所得者から税を取り立てることは生計費非課税の原則や応能負担原則に反する」と批判。「最も効果があるのが毎日の買い物で支払う消費税の減税だ」と迫りました。
石破首相は「社会保障の財源はどこに求めるのか」などと主張。塩川氏は、石破首相自身が著書の中で、「法人税減税にめぼしい意義は見いだせず、経済的格差の拡大を是正するのであれば、消費税の逆進性をどう軽減するかを議論するべき」と述べたと指摘。
塩川 法人税の引き上げで財源をつくり、消費税減税するべきだ。
首相 法人税のあり方は税体系全体の中でさらに議論する必要がある。
塩川 大事なポイントはやはり庶民が苦しんでいる。生計費に税金はかけるべきではない。
塩川氏は、大企業の法人税減税がされてきた結果、30年間で経常利益が5・5倍や配当金は9・4倍、内部留保は539兆円に大幅に増やしたと言及し、大企業減税の見直しに踏み出せと強調。石破首相は「賃上げや設備投資を期待して法人税減税をしたが本当に実現されたのか検証しなければならない。不十分だったのであれば、法人税減税はなんだったのかということになる」と答弁。塩川氏は「賃上げはされず内部留保だけが積みあがったのが法人税減税の結果」と指摘。「法人税はアベノミクス以前の税率に戻し、消費税減税とインボイスは廃止に」と重ねて強調しました。
塩川氏 経団連が献金促すもとで消費税増税と法人税減税。企業・団体献金禁止を
首相 透明性を極限まで高めることは大事
「自民党が消費税減税、法人税引き上げに耳を貸さないのはなぜか」―。塩川氏は、経団連が「優先政策事項」に基づき政党の政策評価を行い、自民党に対し多額の献金が行われるもとで法人税が減税され、一方で消費税が増税されてきた実態を告発しました。
塩川氏は、2003年に企業献金あっせんを復活させた経団連が「優先政策事項」で、「法人税実効税率引き下げ」「消費税引き上げ」を掲げ、奥田碩(ひろし)会長(05年当時)が「会員企業が自民党の政策への理解を深め、社会貢献の一環としての政治寄付をしていただくよう期待する」と発言していたと指摘。03~23年で、法人税実効税率が40・87%から29・74%に下がる一方、消費税が5%から10%に上がり、その間、経団連等の企業・団体から自民党への献金額が488億円に上った事実を突き付けました。
塩川 多額のカネの力で法人税減税と消費税増税が行われてきたのではないか。
首相 企業・団体献金の見返りとして政策を決定し、行ってきたことはない。
塩川氏は、経団連が民主党政権となった09年に政策評価を取りやめる一方、自公政権復活後の13年に再開し、自民党は「法人実効税率25%に向けた抜本改革」「消費税の着実な引き上げ」「原発の再稼働プロセスの加速」などの経団連の要求に応えてきたと反論。「まさに自民党のための政策評価だ」と強調しました。
さらに、石破首相が昨年の臨時国会の答弁で「営利企業である以上、利益を見返りとまったくせず献金することはそれ自体がおかしなこと」だと認めていると指摘。自民党への企業・団体献金は野党時代に全体で年約13億円だったのが、政権復帰後20億円超になったことを示しました。
塩川 政権党かどうかで献金額が変わるのがなぜ「社会貢献」なのか。要求実現してもらう見返りだ。
首相 透明性を極限まで高めることは大事だ。
問題をすりかえる石破首相に塩川氏は「参政権・投票権がない企業が多額のお金で政策を動かし政治を誘導すること自体が国民の参政権を侵害する。賄賂性が問われている企業・団体献金の全面禁止を」と求めました。
![]() 国税庁「会社標本調査結果」「法人税等の申告(課税)事績の概要」等、財務省公表資料から |