2025年1月17日(金)
ガザ停戦合意
喜びも 癒えぬ悲しみ
【カイロ=秋山豊】1年3カ月もイスラエル軍のジェノサイド(集団殺害)ともいうべき攻撃にさらされたパレスチナのガザ地区。15日、住民は本紙の取材に応じ、停戦が合意されたことへの喜びと、家族を殺され、何もかも破壊された悲しみ、怒りを語りました。
ガザ各地では同日、人々が街頭に集まり、拍手をして指笛を鳴らしながら停戦の合意を祝いました。人々は肩車をしてパレスチナの旗を振り、抱擁しあったりしています。うれしさのあまり涙を流す人もいました。
南部ハンユニス在住のアブバッセムさん(43)も「私たちも停戦合意のニュースを踊りながら祝っている」と語りました。
アブバッセムさんは北部ジャバリヤにあった自宅をイスラエル軍に攻撃され、兄弟を2人殺されました。
「いつ殺されるかわからない恐怖のなかで生きるのは本当につらい。今は家を再建できるかもしれない期待を感じている。国際社会はイスラエルが合意を破らないよう圧力をかけてほしい」
ジャバリヤに暮らすアブビラルさん(44)は「戦争の終結を喜ぶべきか。家族を殺されたことを悲しむべきか。複雑な気持ちだが、停戦を待ち続けてきた。ガザを再建したい」と言います。
アブビラルさんは妻と長男、父と兄弟を殺されました。娘は足を失う重傷を負いました。
「何度も退避を強いられて飢えと寒さに苦しんできた。北部では住民の遺体を野犬が食べている。この光景はイスラエルがどれほど残虐な犯罪を行ったかを示している」
中部デイルバラ在住のサルマさん(24)は「殺りくと流血が終わり、道やがれきの下から人々の遺体を収容できる。離ればなれになった親族にも会いたい」と語りました。
北部ガザ市に暮らすムスタファさん(13)は父が殺され、母は病気で苦しんでいると言います。「たとえ破壊されていても学校に戻りたい。私が一生懸命に働いて家を再建することをお母さんに約束する。イスラエルによる占領はどれだけ時間がかかっても必ず終わる。パレスチナが解放され、独立国家が誕生する日がきっと来る」と語りました。








