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2025年1月6日(月)

2025とくほう・特報

増える「多様性尊重」のビジネスリーダー

日常的な取り組みで理解促進

運輸会社社長 愛知・瀬戸 鍋嶋洋行さん

 結婚の平等(同性婚)に賛同し、働きやすい環境づくりにとりくむ企業が増えています。多様性を尊重した経営を重視するビジネスリーダーに話を聞きました。(武田恵子)


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通称名で勤務可能・「誰でもトイレ」も

 多様性を尊重する「レインボープライド」が全国各地で開催されています。その一つ「名古屋レインボープライド」(19年~)に、前身の「虹色どまんなかパレード(12年~)」のときから、協賛している中小企業があります。愛知県瀬戸市に本社を置く大橋運輸(従業員約100人)です。社長の鍋嶋洋行(ひろゆき)さん(56)は、「毎年6月のパレードには社員、家族が多数参加しています。性的マイノリティーをとりまく新たな情報を得て、意識も変わります」と話します。

「存在は大きい」

 属性や立場の違いを超えて多くの人が参加する「レインボープライド」。その中で、「企業の存在は大きい」というのは、「名古屋レインボープライド」共同代表の樹梨杏(じゅりあん)さん。「大橋運輸さんには日常的なとりくみがあります。それをステージで発言してくれるので、私たち当事者も参加者も励まされています」

 大橋運輸は、15年前から始まった多様性を受け入れる「ダイバーシティー経営」と、多様な社員のスキルを生かす地域活動にとりくんでいます。

 ダイバーシティー経営の一つが、社員の採用です。履歴書の形式にも配慮しました。

 「過去に、トランスジェンダーの方で、履歴書の性別欄に、男性、女性の両方に印をつけた方がいました。セクシュアリティーに関係する障壁は取り除きたいと思い、独自に性別欄のない履歴書を作りました」と鍋嶋社長。

 トランスジェンダーの方が希望すれば通称名の勤務が可能で、ホルモン療法に対応できる勤務体制を整えました。男性トイレを「誰でもトイレ」に変更しました。

 同性パートナーは「配偶者」と認定。履歴書の記入項目も、「配偶者」ではなく、「配偶者・同性パートナー」としました。慶弔見舞金などの福利厚生も同等に保障しています。

 複数の部署で、性的マイノリティー当事者が働くようになりました。

 「毎年、LGBTQ研修をしていましたが、社員から、『自分たちも理解できるようになった。研修はしなくていいですよ』と声があがったので、今は、ハラスメント研修の一部としてとりあげています。さまざまなとりくみはすぐに効果が出なくても5年、10年、15年と続けるうちにメリットが出てきます」

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(写真)名古屋レインボープライドのパレードに参加した人々=2024年6月15日、名古屋市(主催団体提供)

地域を盛り上げ

 多様な人々の採用は、性的マイノリティーに限りません。子育て中の女性が働きやすいように短時間正社員の採用や、外国人、障がいのある人の採用にも力を入れました。「10年ほど前から、従業員が持つ多彩なスキルをいかして、地域住民向けに健康や交通安全、防災などを題材にした無料のセミナーを行政と連携して開いています。住民と交流したことで生前整理・遺品整理に需要があることがわかり、新規事業として始めました」と鍋嶋さん。

 名古屋レインボープライド共同代表の樹梨杏さんは、「多様性を尊重する大橋運輸さんのとりくみは、地域を盛り上げています」と、エールを送ります。


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