2024年12月5日(木)
主張
代表質問首相答弁
自民政治の行き詰まりは明白
開会中の臨時国会では、先の総選挙で示された民意に石破茂政権がどう応えるかが鋭く問われています。石破首相の所信表明演説に対する各党の代表質問で、日本共産党は衆院で田村智子委員長が、参院で小池晃書記局長が首相の姿勢をただしました。首相の答弁は、どの問題をとっても国民の願いに背くものでした。
■企業献金を正当化
総選挙での国民の厳しい審判は、何より自民党の裏金問題に対するものでした。田村、小池両氏は、裏金問題の真相解明とともに、金権腐敗の根源である企業・団体献金について政治資金パーティーを抜け道にしたものを含めて全面禁止を求めました。首相は裏金問題の全容解明を拒み、多額の資金で政治をゆがめ国民の参政権を侵害する企業・団体献金を正当化する答弁に終始しました。
首相は所信表明演説で30年にわたる日本経済の落ち込みに言及し、「(株主への)配当は増える一方、賃金は伸び悩んできた」と述べています。田村・小池両氏はその原因が「アベノミクス」など歴代自民党政権の経済失政にあるとし、大企業・大株主の利益を最優先する政策の根本的な転換を主張しました。
具体的には、大企業の巨額の内部留保を賃上げや中小企業への直接支援に還元する日本共産党の政策を提案。税制の抜本改革として▽最悪の生計費課税である消費税の緊急減税とインボイスの廃止▽応能負担の原則から大企業への法人税減税や高額所得者の税負担が低くなる「所得1億円の壁」などのゆがみをただすこと―を求めました。
「103万円の壁」=課税最低限の問題は税制のゆがみの一部であるとして、生計費非課税の原則に立って物価高騰・賃上げを超える水準への引き上げが必要だと迫りました。
首相は、岸田文雄前政権の政策を引き継ぐと表明し、経済無策に反省のないことをあらわにしました。
■「日米同盟」絶対視
「日米同盟」の4文字で思考停止になる政治でいいのかも問われています。
田村・小池両氏は、沖縄県民の意思に反する名護市辺野古の米軍新基地建設の中止を要求しました。田村氏は、核兵器の非人道性を訴え続けてきた日本被団協がノーベル平和賞を受賞したことに触れ、米国の核抑止力強化を主張する首相を批判。小池氏は、5年間の軍事費が43兆円に上る大軍拡とそのための増税の撤回を求め、ASEAN(東南アジア諸国連合)と力を合わせ、米国や中国などすべての関係諸国を包摂し、憲法9条を生かした平和の枠組みの発展にこそ力を尽くすべきだと主張しました。
首相が辺野古新基地、米国の核抑止力、軍拡のどれにも固執し、日米軍事同盟絶対の立場を鮮明にしたのは重大です。
ジェンダー平等について田村氏は選択的夫婦別姓導入法案の国会審議を、小池氏はこれに加え同性婚の法制化などを求めました。しかし、首相は「国民の意見は分かれている」などと後ろ向きでした。
自民党政治の行き詰まりはいよいよ明らかです。日本共産党は国民の運動とともに政治の転換を求め、今後の予算委員会などでも石破政権を徹底追及します。