2024年11月8日(金)
介護倒産145件 年間最多
訪問介護が半数 増加要因
介護事業者(老人福祉・介護事業)の今年1月~10月の倒産件数が145件となりました。これまでの年間最多(143件・2022年)を上回り、2カ月を残し過去最多を記録しました。東京商工リサーチが7日公表したもの。訪問介護が過去最多の72件と半数を占め、増加の要因となっています。
業種別では他に通所・短期入所48件、有料老人ホーム11件などです。
訪問介護は、ホームヘルパーの賃金が全産業平均より月6万円低いと言われ、有効求人倍率十数倍の人手不足です。そこへ政府が4月から介護保険の基本報酬を引き下げ大打撃となっています。同リサーチ社は「ヘルパー不足や燃料代などの運営コスト上昇に加え、2024年の介護報酬マイナス改定の影響が出ている可能性がある」と分析しています。
事業規模別では資本金1000万円未満が86・2%、従業員10人未満が83・4%を占めます。
同社は「効率化」が進む大手と小・零細の格差が広がっているとし「国や自治体の本格的な指導・支援がなければ、小・零細事業者の淘汰(とうた)が加速する可能性が高い」と指摘。このままでは「介護事業者の倒産に歯止めがかからず、全国で『介護難民』の発生が現実味を帯びている」と警鐘を鳴らしています。