2024年11月7日(木)
軍事ローン膨張 9.4兆円
23年度末武器調達契約額 19年度比2倍超
会計検査院が決算検査報告
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武器・装備品の調達契約を巡り、翌年度以降に支払う軍事ローン「後年度負担」が生じる契約額が2023年度末時点で約9兆4500億円に上り、19年度末に比べ2倍以上に膨らんでいることが6日、会計検査院の決算検査報告で明らかになりました。
後年度負担は、翌年度以降の軍事費(防衛省予算)にローン返済分である「歳出化経費」として計上され、原則5年以内に支払われます。政府は憲法に基づき予算の「単年度主義」をとっており、後年度負担が増えると予算の硬直化を招きます。
検査院によると、軍事費の拡大に伴い、後年度負担の契約額は19年度末時点で約4兆6900億円でしたが、23年度末には約9兆4500億円にまで膨らんでいました。
政府は安保3文書の一つ「防衛力整備計画」に基づき、23~27年度で約43兆円の軍事費を投じる方針。従来の計画よりも約15兆5300億円増加したことに伴い、後年度負担額も増えています。
また、23年度の輸入調達の予算額は約2兆1200億円で、前年度より約4倍に増加。大半は、米政府の武器輸出制度である有償軍事援助(FMS)に基づく契約であり、検査院は今後の為替変動により支払額が大きく変動する可能性があると指摘しました。
FMSが急増するきっかけとなったのが、16年に発足したトランプ米政権から「バイ・アメリカン(米国製を買え)」と迫られ、安倍晋三首相(当時)が米国製高額兵器の大量購入を約束したことです。