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2024年11月6日(水)

自衛隊基地「多国籍化」

神奈川県内 米軍以外15カ国使用

法的根拠なく なし崩し

16年以降 訓練28回

 神奈川県内の自衛隊基地を使用した米軍以外の外国軍隊が、安保法制=戦争法制定後の2016年以降で15カ国に上り、基地を使った共同訓練が計28回行われていることが分かりました。他国軍が自衛隊基地を訓練で使用するための法的根拠も整わず、米国の「対中国」戦略に沿った多国籍基地化がなし崩しで進んでいます。


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(写真)海上自衛隊横須賀基地に入港したイタリア海軍の空母カブール=8月22日、神奈川県横須賀市

 防衛省が、日本共産党の志位和夫衆院議員事務所に提出した資料で明らかになりました。

 国別でみると、最多はオーストラリアの10回。インド8回、カナダ6回、韓国とシンガポール5回、ドイツとイタリア3回、英国とオランダ、インドネシア、フランス2回―などが続きます。使用されているのは、海上自衛隊横須賀基地(横須賀市)と厚木基地(綾瀬市、大和市)。訓練区域も関東近海だけでなく、東シナ海や沖縄・九州周辺など広範囲に及んでいます。

 防衛省は外国の軍隊が日本国内の訓練に参加する根拠を巡り、「国内法上、憲法73条2号において内閣の事務として明記されている外交関係の処理として行われる」と回答。軍事活動を「外交」だと曲解しました。

 加えて、具体的な国内法について答えられませんでした。相手国の兵士が事件・事故を起こした場合の刑事裁判権や、訓練資材の搬入に伴う税関手続きなどについて防衛省は「個別の取り決めで対処している」としていますが、詳細は明らかにされていません。

 神奈川県内の基地を使用した外国軍のうち、一定の法的根拠となる「円滑化協定」を締結しているのは英国、オーストラリアだけです。一方、在日米軍は日米地位協定で治外法権的な特権が保障されており、国家主権に関わる重大問題になっています。

 基地問題に詳しい呉東正彦弁護士の話 中国を意識した他国軍との訓練は、集団的自衛権の行使につながりかねないものだ。そもそも憲法に違反しているのに、憲法を根拠とするのは詭弁(きべん)であり、法的根拠はない。刑事裁判権は国民の権利に関わる問題であり、個別に取り決めるのではなく国会議決が必要であり、少なくとも取り決め内容を公表すべきだ。


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