2024年10月21日(月)
主張
総選挙と「地方創生」
地方切り捨て政治から転換を
自民党は総選挙公約で「5つの守る」の柱の一つに「地方を守る」を掲げ、10年前に初代の地方創生相だった石破茂首相は「地方創生」を「再起動させます」と表明しました。しかし、東京一極集中と過疎、地方の疲弊を深刻化させてきた自民・公明政権に期待できるでしょうか。
2014年に始まった「地方創生」の大目標は出生率の引き上げと東京一極集中の是正でした。その結果は、改善するどころか悪化しています。14年に1・42だった合計特殊出生率は23年には1・20になり、過去最低です。東京圏への転入超過は19年には13年の1・5倍になり、コロナ禍で若干抑制されましたが、23年には12万6千人と前年より増加しました。
大都市圏への人口集中を招いたのは自公政権がデジタル化や大型開発を進めて「世界で戦える国際都市」「稼げる都市」づくりを加速させてきた結果です。
自民党公約では「デジタル化の推進などによって、どこに住んでいても仕事や勉強ができ、必要な医療・福祉が受けられる」とバラ色に描いています。
■企業主導の仕組み
しかし、保健所の削減や公立・公的病院の統廃合や病床削減、学校の統廃合、介護事業所の消失などを進めてきたのは自公政権です。この反省を抜きに、デジタル化すれば全てうまくというのは幻想です。
自民党の公約は岸田文雄内閣の「デジタル田園都市国家構想」を引き継ぐ政策です。その内実は自治体の持つ個人情報や公的サービスを民間企業に開放し、企業が利益を得る仕組みに変えようとするものです。
この構想では、デジタル化を口実とした窓口の削減や対面サービスの後退、自治体職員の削減、国の基準に統一したシステムの押し付け、膨大な個人情報の利用によるプライバシー侵害などの危険があります。
首相は農林水産業を「地方の成長の根幹」といいますが、自民党の公約には食料自給率向上の目標すらありません。日本の自給率は38%で、世界で最低レベルです。その責任は、農産物の輸入自由化や米の減産を押し付けてきた歴代自民党政権にあります。
■再生は住民主役で
こうした地方切り捨て政治の転換こそ必要です。日本共産党は基幹産業である農業と全企業数の99・7%、全雇用者の7割を占める中小企業を地域経済再生の柱に位置づけています。
農業では自給率を50%に早期回復、価格保障と所得補償の実施、輸入自由化路線を転換して食料主権を守り、営農で暮らしが成り立つ振興策を示しています。中小企業には賃上げへの直接助成や消費税減税・インボイスの廃止などの支援策を打ち出しています。
大企業が稼げる政策で東京一極集中を加速するのではなく、住民が主役のまちづくり、災害対策を含め命と暮らしを守る政治に転換することを求めています。
国に合わせたデジタル基盤の押し付けで窓口の縮小や人員削減を進める「地方行革」に反対して自治体の独自施策や住民サービスの充実を主張しています。
この方向でこそ地方再生が実現できます。総選挙で日本共産党を伸ばし、希望の道を切り開きましょう。








