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2024年10月20日(日)

主張

若者と社会保障

姥捨て山社会に希望はあるか

 「お金がない」「長時間労働で時間がない」「自分たちには何の支援もない」―若者の切実な声です。この声に応える道はどこにあるでしょうか。

 若者の生活が苦しい大きな要因は、不安定・低賃金の非正規雇用の広がりです。いまや非正規雇用者が全雇用者の約4割を占め、日本全体の低賃金構造をつくっています。

 2000年代、自公政権が財界の要求に応え「努力が報われる社会」「柔軟な働き方」の名で労働法制を緩和したためです。公務員たたきによる定員削減も非正規公務員を拡大しました。自民・公明や日本維新の会が進めたこうしたやり方を改め、非正規の正規化と待遇改善が若者の希望のために不可欠です。

 低所得者ほど負担が重い消費税を下げ、中小企業を直接支援して最低賃金を全国一律1500円にするとともに労働時間を短縮して自由な時間や男女ともに家事・育児の時間を確保することが必要です。学生を苦しめ、子どもを持つのをためらう要因にもなっている高学費を半額にすることも急務です。教育予算を増やし、給付中心の奨学金制度の創設、いま抱えている奨学金返済の半額免除を実行しなければなりません。

■高齢者優遇なのか

 いま、「現役世代に負担が偏っている」と言い募り、高齢者の社会保障を切り捨てる声が野党も含めてわき上がっています。

 75歳以上の医療費窓口負担3割の対象拡大を狙う自公だけでなく、維新は受診抑制のために高齢者全体の窓口負担3割を主張。国民民主党は医療費を抑えるため終末期医療を見直し尊厳死を法制化するとまで言います。維新も尊厳死法制化を提言しています。“年寄りに金をかけるな”という、まさに“姥(うば)捨て山”です。

 誰もがいずれ年をとり、病気が増えるのは当然です。世界的に見て豊かな経済力を持つ国でありながら、尊厳をもって命を全うできるかが自己責任にされ、将来、お金がないと医者にかかれない社会に本当に希望が持てるでしょうか。

■巨大な格差ただせ

 「高齢者が優遇されている」と言いますが、年金・医療・介護とも切り下げの連続で、すでに受診抑制が起きています。優遇などされていません。

 日本には富裕層と庶民の間に巨大な格差があります。所得が1億円を超えると税の負担率が下がるなど不公平な税・財政で優遇されているのは富裕層です。高齢者をやり玉に挙げる世代分断論はそこから目を背けるものです。貧富の格差にこそ切り込むべきです。

 高齢者の負担増・給付減は「自己責任」論を強め、結局、全世代の社会保障や教育への公的負担の抑制・削減につながります。年金・医療・介護の改悪は介護離職など現役世代の負担を増やし、家計所得を減らし、将来不安も加わり消費を冷やして地域経済の打撃になります。若者にとっても「負担だけして、年を取った時にはサービスを受けられない」ことになります。

 日本共産党は、財界・大富裕層への優遇を改め、大軍拡を中止して社会保障への公費負担を増やします。すべての世代が安心して人間らしく暮らせる、それこそが希望の道です。


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