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2024年10月19日(土)

主張

総選挙と核兵器

「核なき世界」の願い 共産党へ

 「ノルウェー・ノーベル委員会は、一つの励まされる事実を認めたい。それは、過去80年近く戦争で1発の核兵器も使用されていない事実である。日本被団協と他のヒバクシャの代表たちによる並外れた努力は、核のタブーの確立に大きく寄与してきた」

 広島・長崎の被爆者らでつくる日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)にノーベル平和賞を贈ることを発表した声明の一節です。声明は、被爆者らのたゆまぬ運動が核兵器に悪の烙印(らくいん)を押し、その規範が「核のタブー」になったとし、核戦争を食い止めてきたと指摘しています。

 一方で声明は、核大国が核兵器の現代化・改良を進めており、現下の戦争で核使用の脅迫が行われていると警鐘を鳴らします。

■核シェルター主張

 27日投票の総選挙では、被爆者らが訴え続けてきた「核兵器のない世界」の願いを託せるのはどの党かが大争点に浮上しています。

 「核兵器のない世界」の最大の障害になっているのは「核抑止力」論です。

 「核抑止」とは、いざという時には核兵器を使うと言って相手国を脅し恐怖を与えれば攻撃を思いとどまらせることができるという議論です。核兵器の使用を前提にし、広島・長崎のような非人道的な惨禍を引き起こすこともためらわないというものです。

 石破茂首相は核兵器の悲惨さを言いつつ、「米国の核抑止が効いている」などと、「核抑止力」論をあからさまに肯定しています。

 しかし、日本被団協の受賞理由にあるように、核の使用を許さなかったのは「核抑止力」ではなく、核兵器廃絶を求める運動と世論です。

 石破氏は、「核抑止力」論を正当化するため、ウクライナが過去に核兵器を放棄したことがロシアの侵略を招いたという持論を繰り返しています。しかし、それは、国家の安全保障を口実に中国や北朝鮮が進める核軍拡や核開発を容認することにつながる暴論です。

 「核抑止力」論は、際限のない核軍拡競争を招き、核戦争の危険を大きくします。石破氏が日本への核攻撃を想定し核ミサイルを撃ち落とす能力の強化や核シェルターの整備を主張しているのもそのためです。

■「核共有」を言明

 石破氏は、米国がどんな時に核兵器を使うかなどについて協議する体制を北大西洋条約機構(NATO)並みにつくるとも述べています。NATOの核協議制度は「核共有」の柱の一つで、核兵器の使用方針だけでなく、実際の核使用の意思決定にも関与します。日本が米国と核のボタンを押すことまで共有するなどもってのほかです。

 石破氏は「抑止力を認めながら核兵器の廃絶が本当に両立可能なのか検証は必要」とも述べていますが、両立が不可能なのは明らかです。

 日本共産党は、「核抑止力」論を根本から批判している政党です。核兵器禁止条約の実現・推進のために草の根の運動でも、国際舞台でも力を尽くしてきました。同時に、批准ばかりか、オブザーバー参加も拒否する日本政府を厳しく追及してきました。日本共産党の躍進こそ、核兵器廃絶の道を進める確かな力です。


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