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2024年10月17日(木)

「核抑止」がんじがらめ

総選挙で問われる各党の態度

表

 核兵器の非人道性と廃絶を訴えてきた日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)が今年のノーベル平和賞を受賞することが決まり、国内外の多くの人々に勇気を与えました。ところが、唯一の戦争被爆国・日本の政府や日本共産党以外の主要政党は米国の「核抑止」に固執し、核兵器禁止条約の署名・批准を拒み続け、「核兵器のない世界」の実現を妨害するなど、恥ずべき姿をさらしています。総選挙で各党の姿勢が厳しく問われます。

政府・自民

 日本政府は戦後、一貫して米国の「核の傘」に依存。国民を欺いて日米核密約(1960年)を結び、米軍の核持ち込みを容認。沖縄をめぐっても、日本復帰後も「緊急時」であれば核兵器を再配備する密約をかわしました(69年)。これらの密約は今なお有効です。

 さらに、岸田文雄前政権は単に米国の「核の傘」=「拡大抑止」に依存するにとどまらず、その強化に加担する立場を示しました。4月10日の日米首脳共同声明は「日本の防衛力によって増進される米国の拡大抑止を引き続き強化する」と表明。広島・長崎への原爆投下の日を目前にした7月28日、拡大抑止に関する日米閣僚級協議を初開催しました。

 石破茂首相は就任直前、米シンクタンクへの寄稿で、米軍との「核共有」を主張。「核の持ち込み」の公然化も掲げました。「核共有」に踏み切れば、日本への核兵器配備も視野に入ります。自民党の選挙政策は「核共有」「核持ち込み」を明記していませんが、「核抑止力を中心とする米国の拡大抑止の在り方を不断に検討」(総合政策集Jファイル)するとしています。

維新・国民民主

 自民党の補完勢力である日本維新の会と国民民主党はどうか。

 維新も選挙政策で「核共有」を主張。「防御・反撃・制裁に関する手続きを日米間で確認し、抑止力の実効性を高める」と明記。核報復の手順の共有まで主張(維新八策)しています。

 国民も選挙政策で「拡大抑止の実効性確保」を掲げ、日米拡大抑止協議を「局長級」に格上げすると提案しています。

立民・公明

 立憲民主党は選挙公約で「非核三原則の堅持」を表明。「核兵器禁止条約へのオブザーバー参加」も主張していますが、条約への参加の是非は示していません。

 公明党も「核兵器禁止条約批准への環境整備を進める」(重点政策)としていますが、核保有国の顔色をうかがうもので、事実上、批准を先送りする立場です。

共通項は「思考停止」

 各党の姿勢には濃淡がありますが、共通するのは米国の「核抑止」抜きの外交・安全保障政策は考えられないという思考停止です。

 石破首相は13日のNHK日曜討論で「いい悪いの問題ではない。われわれは実際に核抑止に頼っている。日本の周囲は独裁国家ばかりでいつ使われるか分からない中でアメリカの核抑止が効いている」と露骨に主張しました。

 しかし、その米国は世界最大の核戦力を有し、先制核攻撃の選択肢まで保持しています。「いつ使われるか分からない」状態を生み出しているのは米国であり、実際、北朝鮮や中国、ベトナムなどへの核攻撃を何度も検討してきました。同時に、ロシアのプーチン政権も米国と並ぶ核戦力を有し、ウクライナで先制核攻撃の選択肢を明言しています。

 それでも各国が核使用を踏みとどまってきたのはなぜか。ノルウェー・ノーベル賞委員会はその背景として、「日本被団協や被爆者の並はずれた努力は、(核兵器の使用は道徳的に受け入れられないという)核タブーの確立に大きく貢献した」と指摘。「核抑止」ではなく、被爆者や無数の市民の声こそが核攻撃を思いとどまらせるという立場を力強く示しています。


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