2024年10月13日(日)
主張
女性差別撤廃条約
日本政府は正面から向き合え
1979年に採択された女性差別撤廃条約は女性へのあらゆる差別をなくすことを掲げ、批准国の政府に対して条約実施の進展状況を4年ごとに報告するよう求めています。17日、ジュネーブの国連・女性差別撤廃委員会で日本政府の9回目の報告が審議されます。
日本は85年に批准し、来年で批准40年を迎えます。審議では、現状と政府の施策が条約の見地と国際的到達から検討され、総括所見にまとめられます。
■日本の遅れを指摘
これまでの審議では、日本の課題と政府の施策の遅れが委員会から厳しく指摘され、改善が求められてきました。2016年の第7回・8回報告の審議では、夫婦別姓が選択できないなど法律上の性差別的な規定▽家父長的な考え方や男女の役割などについて固定的観念が残っている▽売買春による性搾取▽指導的地位にある女性の少なさ▽平等を実現する措置が不十分▽男女賃金格差の拡大▽セクシュアルハラスメント禁止の法制度の欠如▽パートタイム労働への女性の集中▽女性の貧困―など多くの問題が指摘されました。
そのほとんどはいまも改善がすすんでいません。
とりわけ重大なのは、「条約が国内法に十分取り入れられていない」こと、勧告の実施も不十分なことなど、日本政府の条約に対する責任そのものが厳しく問われてきたことです。
条約をより実効あるものにする個人通報制度などを定めた選択議定書は、すでに115カ国が批准し、委員会も繰り返し日本に批准を求めてきました。しかし政府は20年以上も、「研究する」「検討を進めていく」などの回答を繰り返し、先延ばししてきました。
個人通報制度は国内で救済されなかった差別を直接、国連に通報できる制度で、日本が批准すれば、司法の判断や法改正への影響を通じて、条約の実効性を高める力になります。
日本政府の条約と委員会に正面から向き合わない姿勢、女性差別を本気で解決しようとしない政治こそがジェンダーギャップ指数で世界118位という日本の遅れの大本の原因です。
女性差別撤廃委員会が日本の実態に合った指摘を行えるのは、日本女性差別撤廃条約NGOネットワークや日本婦人団体連合会などがNGO報告書を提出し、審議の傍聴、ロビー活動などで日本の女性の現状と要求を直接届ける活動を重ねてきたからです。
委員会の勧告を力に運動で前進をかちとった課題は、婚姻開始年齢の男女差解消、再婚禁止期間廃止、性犯罪規定を見直す刑法改正など少なくありません。今回の審議を契機に、条約の全面実施、ジェンダー平等の前進へ運動をさらに広げましょう。
■政治を変えてこそ
石破茂首相は、就任前に選択的夫婦別姓導入に賛成の態度だったにもかかわらず、国会の代表質問では導入に慎重な姿勢を示しました。女性閣僚も前政権の5人から後退して2人、副大臣・政務官含めてわずか4人。所信表明で「女性の機会を守る」を掲げながら、さっそくの言行不一致です。総選挙で日本共産党を伸ばし、自民党政治を変え、ジェンダー平等を前進させる政治をつくりましょう。