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2024年10月12日(土)

“カジノに税金” 維新ねじ込み

人命軽視・事業費増…万博なぜ夢洲に?

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開発が進む万博会場の夢洲=5月©Google

 大阪・関西万博の開催(来年4月13日)まで、あと半年となりました。しかし、会場となる大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま)では、メタンガス爆発など人命にかかわる問題が次つぎと発生しています。問題の根底には、カジノリゾートに税金投入することを狙って、危険な夢洲を万博会場にした維新の暴挙があります。(本田祐典)

 今年3月、万博会場の建設中トイレで爆発事故が起きました。溶接作業の火花が床下にたまったメタンガスに引火したのです。コンクリートの床約100平方メートルが破損し、天井も損傷しました。

 爆発事故が起きた夢洲1区は現役の一般・産業廃棄物処分場で、メタンガスが地下から大量に発生しています。万博協会はここにバスターミナルやイベント広場を配置。府市などの「子ども招待」もバス利用のコースはこの1区から入場します。

 事故後の測定では、大屋根リングやパビリオンが集中する2区などでもメタンガスが検出されています。

 夢洲が会場として適切か問われ、万博協会は「ここでやれ、対策して開会しろと言われている。そこの答えはない」(6月29日の会見、藁田〈わらた〉博行整備局長)と無責任な姿勢です。

問題山積み

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 ほかにも、事業費増大▽パビリオン建設などの遅れ▽災害時の避難や救急搬送の困難さ▽来場の渋滞や都市機能マヒ▽軟弱地盤▽土壌汚染▽チケット販売不振―など問題が山積です。

 このうち事業費は、会場建設費が2回増額されて当初の2倍近い2350億円になりました。(グラフ)

 開催が近づいても問題が解決しないのは、アクセスルートが二つ(夢舞大橋、夢咲トンネル)だけで、インフラも整っていない、現役の処分場を会場にしたからです。

 なぜ夢洲を選んだのか―。その狙いを露骨に語ったのが馬場伸幸・日本維新の会代表です。

 「(万博事業費は)税金の無駄遣いとは言えない。万博からIR(カジノリゾート)というレールが敷かれていて、うまくいけば大阪・関西経済に大きなインパクトがある。そこには惜しみなくお金を出していく」(昨年9月28日の会見)

 万博を通じ、維新が同じ夢洲に誘致するカジノリゾートに税金投入するというのです。

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 じつは当初、会場候補6カ所のなかに夢洲はありませんでした。ところが、松井一郎・日本維新の会前代表(当時は大阪府知事)が16年6月、自身の「試案」として夢洲をねじ込みました。このとき、維新はすでに夢洲へのカジノ誘致を掲げていました。

 維新が重用し、万博担当の府・市特別顧問を務める森下竜一大阪大学大学院教授も、カジノリゾートへの税金投入を主張してきました。万博開催地を検討した府の会議(16年7月)で松井氏の夢洲案を支持し、次のように述べたのです。

 「夢洲は万博後、IRにするのがいい」「インフラとして万博を利用して何かをつくっていこうと。ここ(万博)で整備しないと次のウオーターフロント開発やIR整備もインフラで悩む。国の支援をいただいて関西全域にインフラをつくる良いきっかけ」

 自公政権も、万博のレガシー(遺産)として夢洲のインフラ整備を立候補申請書(17年9月)に明記。万博後に夢洲全体が観光スポットになるとし、「万博終了後も夢洲と大阪都心を結ぶ重要な交通手段となる鉄道」や「将来的なニーズも視野に入れて建設した幹線道路」を残すとしました。

 この万博レガシーがカジノリゾートへの恩恵となるのです。

市民にツケ

 維新の狙い通り、夢洲に消える巨額のカネ。その全体像は昨年、日本共産党の調査で初めて明らかになりました。

 ―万博の関連事業費は判明分だけで約8600億円(府・市の23年度予算などから「しんぶん赤旗」日曜版23年12月17日号が試算)。

 ―万博・カジノなど夢洲開発は、カジノ業者負担を除く判明分だけで1・2兆円超(昨年12月8日、山下芳生参院議員の国会質疑)。

 山下氏の国会質疑後、国は万博経費の全体像を公表しました。開催準備に国費を最大1649億円使うほか、会場周辺のインフラ整備に国費を含め約810億円、会場へのアクセス向上に国費を含め約7580億円かかるとします。

 維新によるカジノ支援のツケは、国民や大阪府民、市民に重くのしかかっています。

希望ある経済成長 共産党と

共産党府カジノ・万博問題プロジェクトチーム責任者 たつみコータローさん(衆院近畿比例予定候補)

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 私たちは昨年8月、政党として初めて万博は中止しかないと声明を出し、危険性や費用増大を示しました。当初はメディアから「中止まで言うのか」という反応もありましたが、メタンガス爆発などの問題が噴出し、万博の危険性はますます明瞭になっています。

 維新の身内からも、安全への懸念が出る状況です。大阪府吹田市議会では、共産党と維新の議員が「子ども招待」の再検討を求める意見書を共同提案して採択されました。

 万博協会は爆発事故の情報をすぐ公開せず、隠ぺい体質をあらわにしました。自民、公明、立民に会場内を視察させながら、危険性を正面から指摘してきた共産党の視察を拒否しています。爆発現場のメディア公開でも赤旗記者を排除しました。

 万博の中身も、大相撲巡業や阿波踊り、サウナなどを次つぎと詰め込んで、テーマである「いのち輝く」とかけ離れたものになっています。

 万博工事に建設資材や人手を奪われ、能登半島地震・豪雨の復旧・復興も困難になっています。石破茂首相は所信表明演説で「(万博の)成功に向け関係者と心を合わせて取り組む」としましたが、心を合わせる相手が違います。

 維新は、万博とカジノのごり押しで急速に支持を失いつつあります。私たちが指摘してきたように“維新は改革政党ではなく自民党の補完勢力だ”ということが府民の実感になってきました。

 維新がやろうとしているのは、万博を通じてカジノに奉仕し、ギャンブル依存症という人の不幸のうえに成り立つ経済成長です。そこに希望はありません。

 共産党は万博・カジノを中止し、自治体運営をカジノ依存にしない、希望の持てる経済成長をと訴えています。私も共産党のプロジェクトチーム責任者として先頭に立ち、総選挙で支持を大きく広げ、再び国会でカジノ・万博の問題を徹底追及したいと思っています。


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