2024年10月11日(金)
総選挙政策
日本共産党の躍進で、自民党政治のゆがみを正す改革を
2024年10月10日 日本共産党
日本共産党の田村智子委員長が10日発表した総選挙政策「日本共産党の躍進で、自民党政治のゆがみを正す改革を」は次のとおりです。
国民の信頼を失い、行き詰まった自民党政治を変える総選挙に……自民党は、裏金問題や統一協会との癒着に無反省、国民の生活苦への無為無策、憲法を壊す大軍拡などで行き詰まった結果、岸田前首相が政権を投げ出すところまで追い詰められました。
しかし、石破首相には、この行き詰まりをどう打開するのか、何一つ示すことができません。それどころか、「国民に判断材料を提供するのは新しい総理の責任だ」「本当のやりとりは予算委員会だ」などの前言を覆して、党利党略で解散・総選挙を強行しました。裏金問題でも「新しい事実が判明したら調査する」「真実を語る」と言いながら、自らの派閥で「なかった」と言っていた政治資金パーティーでの裏金問題を「しんぶん赤旗」日曜版がスクープし、これまでの説明が「真っ赤なウソ」だったことが突き付けられても「真実を語る姿勢」はありません。次々と前言を覆す、総理大臣の発言は信用できない……ここにも自民党政治のどうしようもない行き詰まりが表れています。
“経済政策は岸田政権を引き継ぐ”と言いますが、これは物価高騰に無為無策だった政治を続けるということです。安保・外交では、「日米同盟の強化」を繰り返し、「安保3文書」にもとづく軍事同盟強化と大軍拡の道をつきすすみ、「アジア版NATO」「核共有」など突出した危険な主張も行っています。
自民党政治は、「表紙」を替えても、政治の中身は何も変わらず、暮らしの切実な要求にも、平和への願いにも、まったくこたえることができません。
自民党政治の二つのゆがみに切り込み、改革をすすめる日本共産党……自民党の裏金問題を明らかにして追及したのは、日本共産党と「しんぶん赤旗」日曜版です。腐敗政治のおおもとにある企業・団体献金の禁止をいっかんして主張し、自ら実践している政党だからこそ、不正をただす力があります。
自民党政治では、なぜ国民の願いがとおらないのでしょうか。政治の根本に二つの大きなゆがみがあるからです。一つは、財界・大企業の利益優先の政治です。国民の暮らしを犠牲にしてまで財界・大企業の利益確保を優先しています。もう一つは、日米軍事同盟を絶対視するアメリカいいなりの政治です。日米軍事同盟強化のためなら、憲法も壊し、沖縄での米軍基地建設強行のように民意も地方自治も踏みにじる政治です。この二つの大きなゆがみに切り込み、国民多数の声で改革をすすめる党が日本共産党です。この党が伸びてこそ国民の切実な願いをかなえることができます。
1、腐敗政治を根本から正し、政治に信頼を取り戻します
裏金、統一協会……自民党・石破政権に、腐敗政治の「改革」を1ミリも期待できません……裏金問題で、新たに石破派の裏金問題が明らかになり、石破首相のこれまでの説明が成り立たなくなっても、麻生派での裏金づくり、堀井元衆院議員が裏金を公選法違反の「香典配り」に使っていたなど、新たな事実が次々に明らかになっても、再調査すらやろうとしません。
自民党は「何のために裏金をつくり、何に使ったのか」という裏金問題の真相をいっさい明らかにしていません。安倍元首相が統一協会会長と自民党本部総裁室で面談した事実が判明しても、再調査すら拒否しています。国民を裏切り、失望させた腐敗政治をまったく反省していません。
腐敗政治のおおもとにある企業・団体献金にしがみつき、企業や業界にパーティー券を買ってもらい、その「見返り」として政治を動かす、古い自民党政治、金権腐敗政治の継続を宣言していることに他なりません。
裏金自民党を追いつめた日本共産党と「しんぶん赤旗」――反省しない自民党につける薬は日本共産党の躍進です……日本ジャーナリスト会議は、今年のJCJ大賞に、裏金問題をスクープした「しんぶん赤旗」日曜版を選び、その受賞理由を「膨大な政治資金報告書から、一つ一つを地道に積み上げ、検察の捜査にまでつなげ、それが大政治犯罪であることを明らかにした」としています。自民党の大政治犯罪を明らかにし、裏金政治を厳しく追及してきたのが日本共産党です。反省できない自民党につける最良の薬は、日本共産党の躍進です。
腐敗政治の根を断つ企業・団体献金の全面禁止を――いっかんして主張し、大きな流れにした日本共産党……30年前、リクルート事件など金権腐敗事件が相次ぎ、「政治改革」が叫ばれました。この時は、他党が問題を小選挙区制導入にすり替え、企業・団体献金の禁止を主張したのは、日本共産党だけでした。しかし、日本共産党は、その後も企業・団体献金禁止を主張し、政治資金パーティーで企業や業界にパーティー券を売りつけることを含めて、全面的に禁止する法案を提出し続け、いまや企業・団体献金の禁止は国民世論の多数となり、他の野党にも広がり、反対は自民党だけとなりました。日本共産党の躍進こそ、信頼される政治に変える大きな力です。
――企業・団体によるパーティー券購入を含む企業・団体献金を全面禁止します。
――国民の血税を分け取りする政党助成金制度を廃止します。
2、暮らし優先で経済も立て直す――大企業・大金持ち優遇を切り替えます
自民党の政権復帰後(2013年以降)、大企業の内部留保は200兆円以上も増えて539兆円に膨れ上がりました。大富豪40人の資産は7・7兆円から29・5兆円へと4倍近くに増えました。
一方で、労働者の実質賃金は年収で404万円から371万円へ33万円も減っています。7月に発表された「国民生活基礎調査」では、「生活が苦しい」という回答が59・6%にもなっています。昨年の中小企業の休廃業・倒産は5・8万件と過去最多となっています(東京商工リサーチの集計)。
このおおもとには、「大企業や大金持ちをもうけさせれば、それが滴り落ちて国民全体が潤う」という財界・大企業の利益優先の自民党政治があります。「アベノミクス」以来、超低金利や公的マネー投入で株価をつり上げ、大企業への減税と消費税増税、大企業のコスト削減のための賃金抑制と社会保障改悪を続けてきました。石破首相も、この悪政を「継承する」としています。
物価高騰から暮らしを守るうえでも、長期低迷から脱して日本経済を再生するうえでも、大企業・大金持ち優遇の政治を切り替え、暮らし優先に転換することが求められます。
(1)政治の責任で賃上げを、労働時間の短縮を
●政治の責任で賃上げをすすめます
物価上昇の影響でこれほど生活が苦しめられるのは賃金が上がらないからです。政治の責任で賃上げを推進します。
――最低賃金を時給1500円以上(手取り月額20万円程度)にすみやかに引き上げ、地方格差をなくし全国一律最賃制を確立します。
――最賃大幅引き上げのカギは、中小企業への直接支援です。大企業の内部留保に時限的に課税して10兆円規模の財源を確保し、中小企業の賃上げへの直接支援を抜本的に強化します。
――ケア労働者の賃金を国が決めている公定価格や報酬の見直しなどで、引き上げます。
――生涯賃金で1億円もの差がある男女賃金格差を是正して、賃金の底上げをはかります。
●賃上げと一体に、労働時間を短縮し、「自由な時間」を増やします
――「自由時間拡大推進法」をつくり、「1日7時間、週35時間制」の実現を
「残業でへとへと」「自由な時間が欲しい」――切実な声が広がっています。日本のフルタイム労働者の労働時間は、ヨーロッパの主な国と比べて年間300時間も長く、いまなお「過労死」が大問題になっています。仕事と家事と育児で睡眠時間を削られている働く女性にとって労働時間の短縮は切実です。「男性は仕事、女性は家事」という現状を正し、ジェンダー平等の日本をつくるうえでも、労働時間の短縮が必要です。
人間は、ただ働いて、食べて、寝るだけの存在ではありません。誰もが幸福な人生をおくる権利をもっているのです。働く人が、人間らしい生活を営む「収入」とともに、余暇や趣味を楽しみ、豊かな教養に親しみ、家族との時間を大切にし、社会活動に取り組むための「自由な時間」を持つことができる社会こそ、ほんとうに豊かな社会といえるのではないでしょうか。
――「1日7時間、週35時間労働制」にすみやかに移行することを国の目標にし、国が、中小企業支援、介護、教育、建設、運輸など人手不足の分野への対策など移行計画を策定することを義務づけます。
――時間外・休日労働の上限を規制し、1日2時間を超える残業割増率を50%に引き上げます。連続出勤・休日出勤規制を強化し、「サービス残業」の根絶をはかります。
――年次有給休暇を最低20日に増やすとともに、有給の傷病・看護休暇を創設します。
――裁量労働制を抜本的に見直し、残業代ゼロ制度を廃止します。
――労働基準監督官を増員し、体制の拡充をすすめます。
――定員増・業務削減などで、教職員、公務、ケア労働の長時間労働を減らします。
――労働時間の短縮をジェンダー平等実現の柱に位置づけて推進します。
●「非正規ワーカー待遇改善法」で、労働条件改善と正規雇用化、ジェンダー平等をすすめます
――不当な雇い止め、解雇をなくし、非正規ワーカーの雇用の安定をはかります。
――「同一価値労働同一賃金」、「均等待遇」を徹底し、非正規ワーカーへの差別・格差をなくします。
――非正規雇用の待遇改善でジェンダー平等をすすめます。
――国、自治体が率先して非正規雇用の待遇改善をすすめます。
(2)消費税減税、社会保障拡充、教育費負担軽減――暮らしを支え格差をただす税・財政改革をすすめます
自民党の政権復帰後に、大企業の法人税率は4回も引き下げる一方で、消費税は2度も引き上げ年間14兆円もの増税となっています。年金や医療・介護も改悪の連続で、国民負担増の合計は年間7兆円規模となっています。暮らしを支え格差をただす税・財政改革が必要です。
●消費税の減税、インボイスの廃止
政府の物価対策は、ガソリンや電気代への補助、一時的な定額減税や給付金など、細切れの対策ばかりです。国民だれもが対象となり、最も効果があるのは消費税の減税です。
――消費税は低所得者ほど負担が重い不公平な税制です。消費税の廃止をめざし、当面緊急に税率を5%に引き下げます。
――昨年導入されたインボイス制度により、政府の推計でも新たに133万人が納税を強いられ、平均13万円もの増税となっています。インボイス制度は廃止します。税率を5%に引き下げ、複数税率がなくなれば、インボイス導入の口実もなくなります。
●年金・介護・医療――高齢者の人権と尊厳、現役世代の生活と将来のために、社会保障の拡充を
自公政権の12年間に、公的年金は実質で7・8%も削減され、目減りした年金は30兆円を超えます。
介護では、ホームヘルパーなど介護人材が不足し、人手不足と経営悪化による介護事業所の撤退・廃業・倒産が続出しています。地方では、介護事業所が1カ所もない自治体も出てきています。人材・事業所がないため介護サービスが受けられないという、介護基盤の崩壊がすすんでいます。
医療でも、高齢者の命と健康を脅かす窓口負担の引き上げが繰り返され、深刻な受診抑制が起こっています。
自公政権や財界は、「社会保障の給付が高齢者に偏っている」など、「世代間対立」をあおりながら社会保障の改悪を強行してきました。しかし、現役世代の「介護離職」が年間10万人にのぼるなど、家族の介護負担が重くなるなかで、介護の基盤崩壊はあらゆる世代にとって重大問題となっています。まともな年金が保障されない現実は、若い世代にとっても“未来の自分の姿”であり、若者が将来に希望を持てなくなる一因となっています。
老人福祉法は、第2条「基本理念」で、「老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として、かつ、豊富な知識と経験を有する者として敬愛されるとともに、生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障されるものとする」と定めています。この「基本理念」に立って、年金、介護、医療の充実をはかることこそ、政治の使命です。
日本共産党は、分断ではなく社会的連帯の力で、高齢者をはじめ、すべての人の人権と尊厳が守られる社会をめざします。
【高齢者の人権と尊厳を守るための緊急提言】
物価高騰にふさわしい年金に引き上げます……年金の“実質減額”が続くのは、自公政権が「100年安心」といって導入した「マクロ経済スライド」など、年金の改定を物価や賃金の上昇より低く抑える仕組みがあるからです。政府は、今後も年金削減を続けながら、現在290兆円(給付の5年分)となっている年金積立金をさらに増やし、100年後の2120年には1京7400兆円(給付の23年分)に積み増すという試算をしめしています。こんな本末転倒の政策はただちにやめるべきです。
――「マクロ経済スライド」など年金を実質減額させる仕組みを凍結・撤廃し、年金を物価の値上がりや賃金の上昇に追いつかせる、年金の引き上げを行います。
――年金積立金の異常なためこみをやめ、計画的に給付の維持・拡充に充てていきます。
――高額所得者に対する保険料の負担優遇を見直し、現役労働者の賃金・待遇の抜本的改善をすすめるなど、年金の保険料収入と加入者を増やす対策をすすめます。
介護への国の支出を増やし、介護の基盤崩壊を打開する緊急対策を実施します……介護職員の賃上げと労働条件の改善、介護報酬の底上げなど、介護の基盤崩壊を打開するために、介護保険の国庫負担割合を現行の25%から35%に引き上げ、国費投入を1・3兆円増やします。介護保険の国庫負担増は、介護の再生を求める多くの有識者・関係者の要求であり、かつては自民党・公明党も国政選挙の公約に盛り込んでいました。
――介護保険制度への国庫負担を10%増やし、公的助成で賃上げをすすめ、ホームヘルパー、ケアマネジャーなど介護職の賃金を、「全産業平均」並みに引き上げていきます。
――施設職員の長時間・過密労働や「ワンオペ夜勤」の解消に向け、配置基準の見直しや報酬加算・公的補助などを行います。
――介護事業所の人件費を圧迫している人材紹介業者への手数料に「上限」を設けるなど、人件費が確実に職員の賃金にまわるようにします。
――今年度に政府が引き下げた、訪問介護の基本報酬を早急に元の水準に戻します。削減されてきた介護報酬を底上げし、介護事業所の経営の継続に向けた支援を行います。
――介護の事業が消失の危機にある自治体に対し、国費で財政支援を行う仕組みを緊急につくり、“民間任せ”では事業が成り立たない事業所・施設の経営を公費で支えます。
高齢者いじめの医療費負担増をやめさせ、負担の軽減をすすめます……75歳以上の医療費の窓口負担は、「原則=1割、現役並み所得者=3割」とされてきましたが、2022年、単身で年収200万円以上などの窓口負担を2割に引き上げる改悪が強行されたために、深刻な受診抑制が起こっています。そのうえ、政府は3割負担の対象をさらに広げる方針を打ち出しました。
――高齢者に際限なく負担増を押しつける医療改悪をやめさせ、70歳以上の窓口負担を一律1割に引き下げ、軽減・無料化をすすめます。
【暮らしを支え、人権と尊厳を守る社会保障へ――展望をもった制度改革をすすめます】
憲法25条は、国民に生存権を保障し、国に社会保障増進の責務を課しています。国民が高齢・障害・病気などになっても、人間らしい暮らしをおくれるようにするのは政治の責任です。同時に、社会保障は、経済の重要な部分も占めています。年金の削減や医療・介護の負担増は家計の所得を減らし、生活不安・将来不安を増大させ、経済と消費にも大きな打撃となります。
――低年金の底上げ、最低保障年金の導入など、「頼れる年金」にするための改革をすすめます。
――軽度者の在宅サービスの保険給付外しや利用料の2割負担・3割負担の対象拡大など、自公政権が計画する「史上最悪の介護保険改定」に反対し、保険給付の拡充、保険料・利用料の減免をはかります。
――高すぎる医療費窓口負担の軽減をすすめます。公費1兆円を投入し、人頭税のようにかかる均等割・平等割を廃止して、国民健康保険料(税)を抜本的に引き下げます。高齢者に差別と負担増を押しつける後期高齢者医療制度を廃止します。病床削減や病院統廃合をやめ、医師・看護師を増員し、地域医療の体制を拡充します。
――マイナ保険証の強制をやめ、健康保険証を存続させます。
――自公政権が強行した生活保護費削減を緊急に復元し、物価高騰に見合った水準に引き上げます。保護申請の門前払い、扶養照会、自動車保有やわずかな預貯金を理由に保護利用を拒む運用などを改めます。名称を「生活保障制度」に変え、権利性を明確にし、必要なすべての人が利用できる制度に改革します。
――高齢者虐待や社会的孤立など、介護保険のサービスでは対応できない事案に対応する、自治体の福祉(措置)の機能と体制を強化します。
――「住まいは人権」の立場で、住居費用の負担が大変な若い世代、高齢者、低所得に向けた家賃補助や公的住宅の整備など、住居へのセーフティーネットをつくります。
●学費値上げを中止し値下げに踏み出し「学費ゼロ」の社会に、学校給食の無償化……教育費負担を軽減します
高い学費と奨学金という名の借金は限界にきています。多くの学生が「バイト漬け」の学生生活を送り、奨学金の借金を背負い、その総額は10兆円にも及んでいます。政府は、大学予算を削りながら、「教育の質の向上」といって学生負担を増やそうという、恥ずべき議論をしています。石破首相は、総裁選では「国立大学の無償化」を公約しながら、東大が11万円にもおよぶ学費値上げを発表しても止めようともしません。政府は、2004年度から国立大学運営費交付金を13%も削減しており、その一部を戻すだけで国立大学の学費値上げは回避できます。
――学費値上げを中止し、値下げに踏み出します。高等教育の無償化をめざし、国公私立を問わず、国の責任でただちに大学・短大・専門学校の授業料を半額にします。他の先進国にはない入学金制度をなくします。
――奨学金は給付制中心に改め、貸与奨学金の返済を半額に減らします。
――学校給食費を無償化します。憲法26条は義務教育を無償としており、国の責任で無償化すべきです。
(3)地域経済の再生――中小企業、農業を経済政策の重要な柱に
●日本経済の背骨、地域経済の主役にふさわしく中小企業の振興を
全企業数の99・7%を占め、全雇用者の7割を雇用する中小企業は日本経済の背骨であり、地域経済の主役です。中小企業の振興なしに、賃金の引き上げも地域経済の再生も実現しません。ところがいま中小企業は、コロナ債務の重圧に加え、円安による原材料費高が直撃し、苦境に追い込まれています。
現在の政府の価格転嫁対策は、基本的に当事者の努力にまかされています。政府の責任で、より踏み込んだ実効性のある対策が求められています。中小企業の賃上げへの直接助成や消費税減税・インボイス廃止をすすめるとともに、以下の支援策をただちに実行します。
――公取が下請け企業等から優越的地位乱用の告発を受けてはじめて立ち入り調査に入るのではなく、違反の疑われる親企業に積極的に調査に入る、特に大企業には定期的に調査に入れるようにします。そのため公取Gメンと下請代金検査官を大幅に増やします。
――優越的地位乱用規制の対象が当事者の事業者だけとなっていますが、欧米などのように対象を事業グループに拡大します。優越的地位乱用や下請代金法違反の罰金も大幅に引き上げます。
――親企業に原材料費、賃金引き上げなどの変動要因による下請け代金の引き上げの協議に対応することを法律で義務づけます。
――コロナ禍で生じたコロナ債務は「債務の別枠化」によって負担を軽減します。国会の付帯決議で採択されている小規模企業の社会保険料負担の軽減をすすめます。
――中小企業を日本経済と地域経済の主役に位置付けた循環型経済をめざす中小企業憲章を具体化するとともに、「地域経済振興条例」などを全国に広げ、地域から日本経済の再生をすすめます。
●食料自給率の向上、食料の安定供給のために――農業を基幹産業に位置付け、農林水産業を振興します
スーパーから米が消え、買えないという異常事態が起こりました。日本は、食料自給率38%と世界でも最低レベルですが、「あって当たり前、なくては大変」の主食の米さえ、供給不安が迫っています。米不足を招いたのは政府が、毎年消費が減るとして農家に減産を押しつけ、ぎりぎりの需給状況にしてしまったからです。
農村では、「あと数年で農業をやる人がいなくなる」という事態に直面しています。稲作農家はこの20年余で3分の1まで激減し、70歳以上の農家が59%を占めています。この30年、生産者の米価は下落を続け、農家の労働の時給は計算するとわずか10円で、若い世代に引き継ぐめどが立ちません。
漁業では、燃費や資材の高騰などによる経営難とともに、気候変動、海の環境の激変によって、10年前に比して岩手のサケは46分の1、函館のスルメイカは10分の1など、各地の漁港にあがる漁獲量の減少が深刻です。
ところが、自公政権は、食料・農業・農村基本法を改悪し、国としての食料自給率の目標を投げ捨ててしまいました。農業を基幹産業として位置付け、食料自給率の向上を政治の責任ですすめなければなりません。
――食料自給率を50%へ早期に回復し、引き続き60%をめざします。
――米の市場まかせをやめ、需給と価格の安定に政府が責任を持ちます。ゆとりある需給計画のもとに、米の増産、備蓄をはかります。
――米農家に生産コストにみあう価格保障、所得補償を実施します。基幹産業として予算を抜本的に増額します。
――輸入自由化路線を転換し、食料主権を守ります。義務ではないミニマムアクセス米の輸入を中止し、国内生産を増やします。
――温暖化への対応のため、農作物の品種改良をすすめ、魚種・産地の転換の国の支援を強化します。
――有機農業など人と環境にやさしい農業を推進します。ソーラーシェアリングや風力発電、バイオ発電など、再生エネルギーを生かした地域活性化をすすめます。
――子ども食堂やフードバンクへ備蓄米を放出するなど、生活困難な人々への食料支援を強化します。
●カジノ誘致、大阪万博の強行に反対します
カジノは人の不幸を食い物にするバクチそのもので、地域の消費を奪う点でも地域経済にマイナスであり、やめるべきです。大阪万博は、カジノのインフラ整備に公金を投入するために誘致されたもので、爆発事故を起こしたメタンガスの排出はこれからも続きます。万博の中止を決断すべきです。
《大企業・富裕層に応分の負担、大軍拡の中止で、国民のための財源を》
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日本共産党は、財源の裏付けを持った政策を提案しています。消費税率5%への減税、社会保障の拡充や教育費負担の軽減、中小企業や農業の振興、気候変動への対策など、税財政の転換によって継続的に必要となる財源は23兆円です。さらに、最低賃金1500円への引き上げのための中小企業支援、奨学金返済負担の半減、物価高騰に対する低所得者支援など、時限的な対策に18兆円程度の財源が必要です。
継続的な施策のための財源は、借金に頼らず、大企業・大金持ち優遇の税制をただし改革や、富裕税などの新たな税の創設、大軍拡計画の中止など歳出の抜本的見直しによって確保します。時限的な施策のための財源も、大企業の内部留保への時限的課税などによって確保しますが、不足する場合は国債発行も含めて機動的に対処します。
3、日米軍事同盟絶対の「戦争国家」づくりを止め、外交の力で平和をつくります
(1)「軍事対軍事」を激化させ、平和も暮らしも壊す大軍拡をストップさせます
憲法壊す大軍拡……自公政権は、2022年末に「安保3文書」を策定し、他国の領土にミサイルを撃ち込む「敵基地攻撃能力」の保有や5年間で43兆円もの軍事費をつぎ込む大軍拡に突きすすんでいます。安倍政権が強行した安保法制によって法的に可能になった集団的自衛権行使を、実践面で具体化する「戦争国家」づくりです。今年3月には、日英伊で共同開発・生産する次期戦闘機の第三国輸出という、「平和国家」の理念を根底から覆す暴挙まで閣議決定しました。さらに、米軍と自衛隊の「シームレスな統合」に向けた司令部統合=日米の指揮・統制の一体化を加速させています。歴代の自民党政府が、憲法9条のもとで「できない」としてきたことが次々と強行されています。
この大軍拡は、軍事対軍事の悪循環をエスカレートさせ、国民に戦争への危険をもたらすだけです。実際、政府は、相手国の報復攻撃を想定して、自衛隊基地の「強靱(きょうじん)化」や、民間空港・港湾の軍事利用、沖縄県先島諸島での住民の「避難計画」まですすめています。
「日米同盟」の4文字で思考停止に陥る――こんな政治を続けて良いのでしょうか……憲法を壊す「戦争国家」づくりの唯一、最大の理由は「日米同盟強化」です。「日米同盟」と言われると思考停止に陥り、憲法さえも踏みにじる政治が日本を覆っています。「専守防衛」を投げ捨て他国領土を攻撃する、「平和国家」の象徴でもあった「武器輸出禁止」も放棄する、米国の核戦略と一体化して核兵器禁止条約に背を向ける、米軍基地建設のために沖縄県民の民意を踏みにじる――「日米同盟」絶対の政治がやっていることです。
しかし、軍事同盟の強化は、軍事対軍事の悪循環を加速させ、世界を対立するブロックに分断します。国民には、戦争と隣り合わせの日常を強いることになり、この道では決して平和はつくれません。
軍事費の大膨張が暮らしも経済も押しつぶす……政府の計画では、2027年度に軍事費は、22年度の2倍の11兆円規模、国内総生産(GDP)比2%に膨れ上がりますが、それで終わりとなる保証はどこにもありません。すでに軍事費は文教予算の2倍になっています。大軍拡は、国民に増税や暮らしの予算の削減をもたらし、いまでさえギリギリの国民生活をさらに押しつぶします。
――集団的自衛権行使容認の閣議決定と安保法制を廃止します。日米軍事同盟を“神聖不可侵”とみなし、その強化をはかることに断固反対します。
――「安保3文書」にもとづく「戦争国家」づくりをストップさせます。
――憲法9条を守り抜き、改憲策動に断固反対します。
(2)軍事同盟強化に反対し、東アジアの平和をつくる外交に全力をあげます
平和をつくる希望は、外交に本気で取り組むことにしかありません。「日米同盟」絶対論者は「空想的」「理想論」などといいますが、まったくの見当違いです。私たちの目の前には、東南アジア諸国連合(ASEAN)が粘り強くとりくんできた平和の地域共同体づくりのリアルな経験があるのです。
日本共産党は今年4月、ASEAN諸国との繰り返しの交流を踏まえて、「東アジアの平和構築への提言――ASEANと協力して」を提唱し、これを推進してきました。軍事的対応や軍事ブロックによる対立ではなく、包摂的な平和の枠組みを発展させることがその核心です。
ASEANは、紛争の平和解決を定めた条約(東南アジア友好協力条約=TAC)を土台に、数十年にわたり徹底した対話を積み重ね、かつては「分断と敵対」が支配していたこの地域を、「平和と協力」の地域へと劇的に変えてきました。そしていま、この平和の流れを東南アジアの域外にも広げようとしているのです。それが、ASEAN10カ国に日本、中国、アメリカなどを加えた18カ国で構成される東アジアサミットを活用・発展させ、東アジア全体をASEANのような戦争の心配のない平和な地域にしようという大構想(2019年のASEAN首脳会議が採択した「ASEANインド太平洋構想」=AOIP)です。
AOIPは、特定の国を排除することを厳にいましめ、すべての関係国を包摂し、ともに一つのテーブルについて話し合うことを大原則にしています。このASEANと協力して、東アジアを戦争の心配のない地域にする外交をすすめることこそ、憲法9条をもつ日本がなすべきことではないでしょうか。
また、「東アジア平和提言」の中で、日中関係についても、2008年の日中首脳会談で「日中両国は互いにパートナーであって、互いに脅威とならない」と合意していることなどを示し、こうした合意や、AOIPに両国が賛同していることに基づき、日中関係の前向きな打開を提案しています。
ヨーロッパでも、ロシアによるウクライナ侵略をきっかけに、NATOの拡大・強化という大逆流がすすんでいます。ユーラシア大陸の東と西で共通した危険な事態となっていますが、いずれも背景には「統合抑止」の名のもとに、東西の同盟国を一つに結びつけようとするアメリカの世界戦略があります。日本共産党は、広がりつつある欧州の平和勢力のたたかいとの連帯も強めながら、外交による問題解決に全力を尽くします。
――ASEANと協力し、対話と協力の外交で東アジアに平和をつくります。
――軍事同盟強化やブロック政治に反対する欧州の平和勢力と連携します。
(3)沖縄の米軍新基地建設を中止し、日米地位協定を抜本改定します
自公政権は昨年12月、沖縄・玉城知事の権限を奪う「代執行」まで行い、米軍辺野古新基地建設のための埋め立て工事を強行しています。しかしこれは、繰り返し表明された沖縄の民意を踏みにじり、憲法が保障する地方自治を政府が乱暴に破壊するものです。
「辺野古が唯一の解決策」との口実はいよいよ破たんしています。軟弱地盤の改良工事はおよそ技術的に不可能なこと、建設費用が“青天井”となること、サンゴなどかけがえのない環境を破壊することなど、どこからどうみてもまったく展望はありません。逆に、辺野古新基地建設に固執すればするほど、「世界一危険」な普天間基地の固定化がつづくことになってしまいます。新基地建設中止、普天間基地の即時閉鎖・撤去こそが必要であり、それこそが唯一の解決策です。
政府は、「安保3文書」による大軍拡で、南西諸島に他国の領土を攻撃できる長射程ミサイルの大量配備とともに、先島諸島住民12万人の九州、山口県への「避難計画」をすすめています。沖縄を軍事要塞(ようさい)化することは許されません。
沖縄では、昨年12月に米兵による16歳に満たない少女に対する性暴行事件が発生したのに、こともあろうに日本政府がそれを半年も隠ぺいし、県に通報しなかったことが大問題となりました。これは沖縄だけの問題ではありません。全国で相次ぐ犯罪や事件、異常な低空飛行訓練など米軍の横暴勝手の根本には、植民地的特権を保障した日米地位協定があります。アメリカの他の同盟国と比べても異常な事態は一刻も放置することはできません。
――米軍辺野古新基地建設を中止し、普天間基地は即時閉鎖・撤去します。
――長射程ミサイルの大量配備など、沖縄の軍事要塞化を許しません。
――米軍犯罪など横暴勝手の根本にある日米地位協定を抜本改定します。
(4)「核抑止」から抜け出し、核兵器禁止条約に参加する政府を
日米軍事同盟絶対の自公政権は、核兵器をめぐっても、今年7月に「日米拡大抑止協議」を閣僚級に格上げして開催するなど、米国による「核抑止」を日米一体で強化する姿勢を露骨にしてきました。石破首相は、「核共有」――米国と核のボタンを押すことを共有する姿勢まで示しています。「非核三原則」に違反します。「核抑止」とは、核兵器の使用を前提に相手国を脅迫することです。唯一の戦争被爆国でありながら、核兵器禁止条約に背を向け、逆にアジアでの核軍拡を激化させることなど絶対にあってはなりません。
核兵器禁止条約は、現在、94カ国が署名、73カ国が批准し、2回の締約国会議が開催されるなど、国際政治において現実的な役割を発揮しています。日本政府が核兵器禁止条約に加われば、この流れが巨大なうねりとなることは確実です。
――「核抑止」から抜け出し、核兵器禁止条約に参加する政府をつくります。
――唯一の戦争被爆国として核兵器廃絶の先頭にたつことを求めます。
(5)ガザ危機とウクライナ侵略――国連憲章・国際法にもとづく解決を
イスラエル軍がパレスチナ・ガザ地区への大規模攻撃を開始してこの10月で1年が経過しました。ガザにおける死者は少なくとも約4万2千人に達しており、飢餓や伝染病の拡大などまさに人道的危機にひんしています。イスラム組織ハマスによるイスラエルへの無差別攻撃は許されませんが、それを口実にしたイスラエルによるジェノサイド(集団殺害)を止めることは一刻の猶予もならない世界の大問題です。
ロシアによるウクライナ侵略は開始から2年半以上が経過し、戦争の終わりが見えない状態が続いています。その責任は、国連憲章を蹂躙(じゅうりん)して無法な侵略をつづけるロシアにあります。
米政権が「民主主義対専制主義の闘い」のスローガンで世界に分断を押し付けていること、ロシアの侵略を非難する一方で、イスラエルによるガザ攻撃を擁護し、軍事支援を行うという「ダブルスタンダード」をとっていることは重大です。「国連憲章を守れ」の一点で世界の圧倒的多数の国ぐにが結束することこそ重要となっています。
――ガザ市民へのジェノサイドの即時中止とすみやかな停戦を求めます。
――日本をはじめ国際社会によるパレスチナ問題の公正な解決を強く呼びかけます。
――ロシア軍のウクライナからの即時・全面撤退を強く求めます。
――ウクライナでの流血と破壊を止めるために、国際社会と関係国に、国連憲章、国際法、ロシア軍の即時撤退を求めた4回にわたる国連総会決議にもとづいて、すみやかな和平交渉を開始することを求めます。侵略を終わらせるため、「国連憲章を守れ」の一点での世界の結束を呼びかけます。
4、気候危機打開へ――本気で取り組む政治に
気候危機の打開は、地球規模、全人類的課題です。2023年の世界の平均気温は、1850年の気象観測開始以来、もっとも暑い年で、産業革命前に比べると1・48度上昇しました。同時に、日本国民にとっても、猛暑や豪雨災害が頻発し、農業や水産業にも大きな被害を与えるなど待ったなしの課題です。
●石炭火力と原発が試金石です
国連は先進国に対して2030年までに石炭火力から計画的に撤退するよう繰り返し求めています。しかし、日本はG7の中で唯一、石炭火力からの撤退期限を示さない国になっています。
世界有数の地震国・津波国である日本で、原発を稼働させることは、東電福島第1原発事故の深刻な被害や能登半島地震、南海トラフ巨大地震情報などを見ても無謀です。にもかかわらず自公政権は、「クリーンエネルギー」と称して原発回帰をすすめ、危険な老朽原発の稼働、原発の新増設まですすめようとしています。
一方で、再生可能エネルギーは大きく立ち遅れています。日本の電力のうち、再生可能エネルギーによる電力は24%です。オーストラリア(36%)、イギリス(46%)、ドイツ(52%)、カナダ(66%)などから大きく立ち遅れています。ところが政府のエネルギー基本計画では、2030年度でも再生可能エネルギー電力の比率は36~38%にすぎず、自民党政治では、どんどん世界から取り残されていきます。大手電力会社は、「電力が余る」といって再エネ電力を抑制しています。石炭火力と原発を維持するために「再生可能エネルギー電力を捨てる」、こんな国に未来があるでしょうか。
――すみやかに原発ゼロ、石炭火力からの計画的撤退をすすめ、2030年度に原発と石炭火力をゼロにします。
●大胆な再エネと省エネの取り組みでCO2削減をすすめ、実質ゼロを目指します
日本共産党は、2021年9月に「気候危機を打開する日本共産党の2030戦略」を発表しました。2030年度までに、省エネと再エネを抜本的に強化して、CO2(二酸化炭素)を50~60%削減するという提案です。その実行がいよいよ大切になっています。さらにCOP28で合意した2035年の新たな温室効果ガスの削減目標を75~80%減、そのために再生可能エネルギー電力の比率80%をめざします。
――再生可能エネルギーの優先利用の原則を確立し、大手電力会社が再エネ電力の導入にブレーキをかけることや、太陽光をはじめ再エネ発電の出力抑制を中止します。送配電の東西日本規模での運営を念頭に、再エネを最大限活用できる電力網などのインフラを整備します。
――二酸化炭素排出量が大きい業界、大規模事業所に、二酸化炭素削減目標と計画、実施状況の公表などを「協定」にして政府と締結することを義務化します。
――農地でのソーラーシェアリング、小規模バイオマスの発電の普及など、脱炭素と結びついた農業・林業の振興をすすめます。
――省エネの取り組みを産業、都市・住宅など、あらゆる分野ですすめます。
5、ジェンダー平等、人権後進国から先進国に
(1)ジェンダー平等を大きく前進させる政治に
ジェンダー平等は、誰もが人間らしく尊厳を持って生きられる社会の大前提です。
この当然の要求実現を妨害しているのが自民党政治であることがいっそう明らかになってきました。選択的夫婦別姓が国民の圧倒的世論となり、日本経団連が求めるまでに社会は変化していますが、自民党政治は、この課題を先送りし続けています。明治憲法下の家父長的家族観にしがみつき、それを国民に押しつける政治を変えましょう。女性やマイノリティーを低く見て安く働かせる政治、男性中心の正社員に長時間労働を強いるために、女性に家事や育児、ケアを担わせ、女性は非正規を選択せざるを得ないようにしている政治を変えましょう。
“声を上げなければ変わらない”――ジェンダーギャップ指数が146カ国中118位と低迷したままの日本を変えようと、全国各地でさまざまな分野で、ジェンダー平等を求めるムーブメントがねばり強く広がっています。「不同意性交等罪」を創設した改正刑法、男女賃金格差の公表、痴漢撲滅への対策、同性婚を認めないのは違憲とする高裁判決など、前進させてきました。
この流れをさらに大きくして、ジェンダー平等な社会、個人の尊厳が尊重され、人権が保障される日本をともに実現するために、日本共産党は、みなさんと力を合わせてがんばります。
――選択的夫婦別姓を今すぐ実現します。
――同性婚を認める民法改正を行います。
――男女賃金格差の原因である非正規との格差を明確にするため、情報開示項目を増やし、正規雇用男性に対する、正規雇用女性、非正規男性、非正規女性の数値を開示させます。
――企業に、賃金格差是正の計画策定と公表を義務づけ、政府がそれを監督・奨励する仕組みをつくるよう女性活躍推進法の抜本改正を行います。
――実質的な女性差別を横行させている間接差別をなくします。間接差別の禁止、同一価値労働同一賃金の原則を関係法令に明記します。
――性暴力被害者支援ワンストップ支援センター予算を抜本的に拡充し、根拠法を制定します。
――リプロダクティブ・ヘルス&ライツ、権利としての避妊や中絶を確立します。避妊薬と緊急避妊薬、中絶薬を安価でアクセスしやすくします。刑法の堕胎罪や母体保護法の配偶者同意の要件を廃止します。「生理の貧困」を根絶します。
――政治分野における男女共同参画推進法の立法趣旨に沿い、パリテ(男女議員同数化)に取り組みます。民意をただしく反映し、女性議員を増やす力にもなる比例代表制中心の選挙制度に変えるとともに、衆議院の女性議員比率が約10%という、日本のきわめて遅れた状態を変えるために、政党に一定割合の女性候補者擁立を義務づけるなど、クオータ制の導入をすすめます。
――女性差別撤廃条約選択議定書は条約が保障する権利が侵害されたときに国連差別撤廃委員会に通報して救済を申し立てることができる制度で、すでに115カ国が批准しています。日本は、国連から批准するよう勧告され続けています。早期に批准し、差別を受けたら国連に通報できる差別撤廃の制度を日本の女性が獲得できるようにします。
(2)子どもの権利が保障される日本に
今年は子どもの権利条約批准30周年の年です。しかし、自公政権は子どもの権利を長期にわたり無視し、日本は子どもにとっても生きづらい国になっています。
学校では不登校が増え続け、いじめも深刻です。日本の子どもの幸福度は38カ国中20位、とくに精神的幸福度は37位でした(ユニセフ、2020)。10代の自殺率の高さもきわだっています。睡眠時間が他国より短いなど子どもの生活の忙しさも心配です。日本を子どもの権利が保障される国にしていきます。
●教育での行き過ぎた競争と管理を是正し、豊かな教育条件を整備します
国連子どもの権利委員会は「過度に競争的な教育制度が子どもの発達の障害をもたらしている」と日本政府に繰り返し勧告しています。全国学力テストは全国知事会でも「都道府県で順位をつけても意味がない」と疑問の声があがっています。教育を数値で評価し競わせる競争主義や「ゼロ・トレランス(寛容ゼロ)」などの管理主義を、条約の立場で是正します。
――全国学力テストを中止し、異常な競争教育をただします。
――「校則は子どもの意見表明権の対象外」という政府の姿勢をただし、憲法と子どもの権利条約をふまえた、学校での校則見直しを奨励します。
――教育の自由、自主性を保障し、学校を子どもも教職員も安心できる場にします。
――日本の教育予算はOECD諸国で最低水準です。教育予算をふやし、中学校35人学級をすみやかに実施し、さらに30人以下の少人数学級をめざすなど、教育条件を改善します。
――教員の異常な長時間労働は、子どもをていねいに見る上でも深刻で、教員不足の要因にもなっています。教職員定数の抜本増、公立義務教育教員への残業制度の適用などをすすめます。
●子どものための社会保障を拡充します
――子どもの貧困の改善へ、数値目標を明確にして、必要な給付等にとりくみます。児童手当の拡充をさらにすすめます。
――保育所の設置基準や保育士の待遇の改善をはじめ、学童保育、社会的養護施設、児童相談所、児童館など子どものための公的施設を抜本的に拡充します。
――高校卒業までの子ども医療費無料化を国の制度として実施します。
●子どもの参加、意見表明権などを保障します
――こども基本法で定めた「こども施策」の策定等での意見表明の機会と意見の尊重、子どもの参加を、教育行政をふくめ全面的に実施させます。
――子どもの権利のための立法や政策提言、個別の権利救済の権限をもつ、独立性のある子どもの権利擁護・救済機関を設置します。
――子どもの権利条約の内容を知らなくては権利が行使できません。特に、子どもや子どもに関わる大人たちへの普及・研修をつよめます。
(3)あらゆる分野での人権保障を
――強制不妊手術や中絶手術がおこなわれた旧優生保護法(1948~96年)による被害は、戦後最大の人権侵害であり、最高裁大法廷で違憲と断罪されました。優生思想にもとづく差別と偏見の根絶に力をつくします。成立した新しい補償法のもとで、すべての被害者の補償と尊厳回復します。被害者の相談窓口を整備し、第三者機関による優生保護法の真相究明と再発防止のための調査・検証を求めます。
――障害者児の福祉・医療は所得制限をなくし無料にします。障害児世帯の負担軽減は子育て支援策としても位置づけます。
――障害差別をなくし、合理的配慮が行き届いた住まい、学び、就労、教育、情報などを保障します。
――障害福祉報酬の基本報酬を緊急・抜本的に引き上げるとともに、福祉を支えるケアワーカー・専門職に公費から直接手当し、処遇改善をすすめます。
――医師や看護師の配置が不十分な精神科特例を改善し、身体拘束を廃止します。通院、入院、訪問でも精神障害者への十分なケアを求めます。
――アイヌ民族の権利運動に連帯し、国連宣言に沿った先住民の人権尊重前進のとりくみ強化をはかります。
――外国人労働者に、日本人と同等の労働者としての権利保障を確立します。育成就労制度は、技能実習から名称変更しただけであり、早急に本人の意向による「転籍の自由」の保障と、労働者の家族帯同を認めるよう抜本的改善をはかります。
――難民条約、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の基準など国際人権法を順守し、法務省から独立した難民認定機関の設置など抜本的な入管法改正、入管庁改革を行います。国連拷問禁止委員会などから厳しく批判されてきた長期収容に上限を設定し、人身拘束はかならず司法審査を行います。難民認定申請中の強制送還を可能とする改悪は無効化します。新設された永住権取り消し規定を削除します。
――戦乱など諸事情で日本に避難した外国人には、ウクライナ避難民と同水準の支援を行います。日本生まれ、日本育ちの子どもとその家族に、実情に即した在留特別許可を積極的にすすめます。
――再審法を改正します。
袴田さん無罪判決では、捜査機関による自白強要と証拠捏造(ねつぞう)を断罪しました。二度とこのような国家権力による重大な人権侵害を引き起こさないために、全面的な証拠開示と、再審開始決定に対する検察による不服申し立ての禁止を制度化するなど再審法改正を行います。
6、国民の命と暮らし、権利を大切にする政治に
(1)住民の命、暮らし最優先に、災害に強い社会と国土をつくります
●能登地震・豪雨災害、東日本大震災はじめ、被災者の生活となりわいの再建を柱にした被災地の復興支援を
能登地方は、大地震と豪雨災害という例をみない連続した大災害に見舞われました。しかし、政府の対策は、「従来の水害対策としての対応」にとどまっています。能登半島地震から立ち上がろうとした時に記録的豪雨にあった被災者一人ひとり、被災地の状況に応じた支援が必要です。
――被災者の生活となりわいの再建を柱にすえ、従来の枠にとらわれず国の支援を抜本的に強めます。
――避難所の衛生、食事、プライバシー、ジェンダーなどを抜本的に改善します。避難所に限らず人間らしい避難生活を確保し、災害関連死の防止を図ります。
――住宅の被害認定は住まいとしての機能喪失の度合いを基本とするとともに、住まいの再建を実質的に支援する水準に被災者生活再建支援金を引き上げます。
――国は通知やマニュアルの実行を自治体任せにするのでなく、被災者と被災地の実情を直接把握し、国の責任で必要な支援を行うよう改善します。
――災害・防災対策にジェンダーの視点を徹底します。
●乱開発を規制し、災害に強いまちづくり、国土づくりをすすめます
――開発にあたっては災害への危険に対する評価を前提にし、効率性や経済性などを優先する開発のあり方を根本から見直します。
――人口密集地に隣接した石油コンビナートなど防災対策は事業者まかせでなく国が責任をもって地域一体の安全を確保します。
――甚大な被害をもたらす土砂災害を減らすためにも、山間部の開発規制や適切な管理が必要です。
●防災体制を強化します
――地方自治体の職員、消防団・職員など、発災時に最前線で被災者支援に携わるだけでなく日常の防災対策を担う地方自治体の人材確保をすすめます。
――地震・津波や火山活動、気象などの観測・監視、調査研究に必要な体制を強化します。
――被災者支援に福祉を位置づけ、被災者の生活再建を支援するとともに、医療や福祉の基盤を強化します。
(2)子どもを産み育てることを困難にしている問題を解決し、個人の自由な選択ができる社会に
政府は、「少子化対策」などと言いますが、結婚するか、子どもを産むかは、あくまで個人の選択の自由であって、国が介入することではありません。国民に「子どもを産みなさい」というプレッシャーをかけるようなことはやってはなりません。
問題は、経済的・社会的事情などで自由に選択できなくなっていることです。選択できるようにするためには、教育費をはじめ子育てにかかる重い経済的負担を軽減する、政治の責任で「賃金が上がらない国」を根本から転換する、長すぎる労働時間を短縮し、働く人の自由な時間を増やす、非正規ワーカーへの差別をなくす、ジェンダー平等をすすめ、女性に家事、育児をおしつける不平等をなくすなど、子育てしにくい社会を変えることが求められます。子どもの権利が尊重される社会にすることも必要です。国連子どもの権利委員会から「過度に競争的な教育システム」と勧告されている現状をあらため、子どもの個性が生かされ、豊かな成長を保障する教育条件の整備、子どもの貧困をなくし、教育を受ける権利を保障するなどが求められます。
「人口減少社会」を変える根本は、一人ひとりの人権と個性が尊重され、ほんとうに住みよい社会にしていく不断の努力を積み重ねることです。
(3)デジタル化やAIの進歩を国民のために
デジタル化やAI(人工知能)の活用の大前提は、個人情報を保護し、安心と信頼を確保することです。政権に都合の悪い情報を隠ぺい・改ざんする一方で、国民には個人情報を提供させて、デジタル化を強引にすすめようとしても、国民の信頼と合意を得ることはできません。
●マイナンバーカードの拡大や個人情報の利活用に反対します
重大なトラブルが多発したマイナンバーカードに国民の不信と怒りが広がりました。それでも自公政権は利用拡大に固執しています。それは政府が国民の所得・資産・社会保障給付を一体的に把握し、徴税強化と給付削減をねらっているからです。財界も個人情報を利用して利益を拡大することをもくろんで後押ししています。また、行政のデジタル化やマイナンバーによって、地方自治体が持つ個人情報と、国や民間の情報が関連づけられれば、プライバシーが丸ごと国家権力に握られてしまいます。
――マイナンバーカードと保険証や運転免許証との一体化の押しつけをやめさせます。マイナンバー制度の廃止を求めます。
――デジタル化の推進と個人情報保護強化は一体です。個人情報保護法の改悪に反対し、真に個人情報を保護する改正を実行します。
――地方自治を無視した自治体へのデジタル化押しつけをやめ、個人情報保護条例を復活させて本人の同意なき個人情報移転などを防ぎます。
――情報漏えいやトラブルの原因解明と責任追及、被害者への補償などの規定を整備します。
――警察の違法な国民監視、情報収集を許さず、警察が集めたDNA型、顔写真、指紋など個人情報の恣意(しい)的利用をやめさせます。
●国民が安心して活用できるAIのルールづくりをすすめます
EU(欧州連合)ではAI規制法を制定し、リスクのレベルに応じて使用禁止や厳格な管理を適用しています。アメリカでもAIの安全な開発と利用に関する大統領令を発出しました。一方、日本では、罰則をともなう法制での規制でなく、事業者の自主性にゆだねています。
――日本版AI規制法を制定して、リスクに応じた厳格な管理を行い、偽情報を排除する仕組みをつくります。
――自律型致死兵器システムなどAIの軍事・安全保障分野での使用に反対します。
――著作権法やデジタルプラットフォーム取引透明化法を改正して、プラットフォーマーやAI事業者に社会的責任を果たさせます。
――経済安全保障を名目とした半導体産業への巨額の補助金投入は見直します。