2024年10月11日(金)
きょうの潮流
那覇市唯一の海水浴場「波の上ビーチ」を抱える公園にその碑はあります。恒久平和のねがいを込めた「なぐやけの碑」。なぐやけとは、穏やか、和やかという沖縄の古語です▼1944年10月10日、米軍が沖縄諸島を空襲しました。行政や経済の中心地だった那覇は集中攻撃を浴びほとんどが焼失。先の碑は、10・10空襲やその後の沖縄戦で犠牲となった那覇市民を悼んで建立されました▼それから80年。いまも碑前では不戦の誓いとともに追悼式が開かれ、当時の体験が語り継がれています。焦土と化したわが町、突然奪われた日常、迫りくる死の恐怖。忘れえぬ戦争の悲惨です▼先の大戦で本土防衛の捨て石とされた沖縄。いままた戦場に想定した日米の統合演習や軍事要塞(ようさい)化が推し進められています。島を覆う米軍基地は犯罪や性暴力の温床となっているにもかかわらず、辺野古の新基地建設も強行。石破首相は、県選出の自民党国会議員を屈服させて辺野古を容認させた張本人です▼10・10空襲のその日、サザンビーチで知られる神奈川県茅ケ崎海岸に米軍のヘリが不時着しました。米軍厚木基地に所属する機体で、今年8月にも同基地から離陸したヘリが神奈川・海老名市の田んぼに着陸しています。あたりには民家や小学校も▼これが「国民を守る」ということなのか。先の碑には「わたくしたち那覇市民は、愚かな戦争を再び繰り返してはならないと深く決意する」と記されています。それはこの国の変わらぬ意志でもあるはずです。