2024年10月3日(木)
共産党政策「賃上げと一体に労働時間の短縮を」
山添拓政策委員長に聞く
「自由な時間」の拡大へ みんなで力合わせよう
日本共産党は9月20日、政策「賃上げと一体に、労働時間の短縮を 働く人の自由な時間を拡大するために力を合わせましょう」を発表しました。政策のポイントや特徴について、山添拓政策委員長に聞きました。(行沢寛史)
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―今回、なぜ労働時間の短縮を打ち出したのでしょうか。
この間、日本共産党は「8時間働けば普通に暮らせる社会に」と訴え、多くの反響が寄せられました。一方で、「8時間でも長すぎる」という切実な声も聞いてきました。8時間労働では、通勤時間や休憩時間を含めて仕事に拘束される時間は10~11時間、さらに残業も入ってきます。これでは帰宅後の時間が短く、家事・育児も加えると自分の時間がもてません。
街頭の対話でも、とくに若い世代や女性から「自由に使える時間がほしい」という声が出されます。正規雇用では長時間の残業が前提となっている状況があり、非正規雇用ではダブルワーク、トリプルワークをしなければ生活できる収入にならないなど、低賃金が長時間労働を余儀なくさせています。
世界的には労働時間短縮の流れが大きく広がり、ヨーロッパでは週35時間労働や週休3日も進んでいます。一方、日本では、労働時間規制を骨抜きにし、労働時間の短縮に逆行する議論が厚生労働省の検討会で進められています。
こうした声、実態をふまえて今回、新たな踏み込みとして労働時間の短縮をめざすことをよびかけました。
―新たな踏み込みとはどういうことでしょうか。
日本ではいまだに長時間労働を原因とする「過労死」が起きています。日本共産党は、多くの人たちと手をたずさえ、「過労死」や「サービス残業」の根絶、ブラック企業の告発など、長時間労働の是正に向けて取り組み、一定の前進も勝ち取ってきました。
政府や経団連は、「健康を守りながら」といって長時間労働が横行する法制度とその運用も行ってきました。同時に、そもそも健康さえ確保されれば長時間働かせてもいいのかが問われます。
そこで、人間らしい生活時間の実現とともに、新たに「自由に使える時間」を確保するため、「自由時間拡大推進法」を提案しました。法定労働時間で「1日7時間、週35時間」にむけた取り組みを発展させたいと考えています。
![]() (写真)労働者向けフライヤー |
賃上げを前提に
―賃上げと一体としたのはなぜですか。
2018年の「働き方改革」によって一部企業などで労働時間が短くなりましたが、賃金が下がったという声があります。
自公政権が復活してからの11年間で、働く人の実質賃金は年額33万円も減っています。賃下げをともなう労働時間短縮では、生活がさらに困窮し、魅力もありません。
賃上げは、労働時間短縮の前提です。大企業の内部留保に時限的に課税し、中小企業を支援して、全国で最低賃金1500円を実現するなど、大幅賃上げの実効ある政策とセットで進めるようにしていきたい。
また、いま医療・介護、建設、運輸など、さまざまな職種で深刻な人手不足に陥り、長時間労働がまん延しています。人手不足の要因は低賃金・長時間労働という劣悪な労働条件を放置してきたことにこそあり、求人を出しても募集が少ないという状況があります。魅力ある産業にしていくには、社会保障費や中小企業支援を拡充するなど、賃上げと労働時間短縮へと移行させる条件整備が必要です。
―労働時間の短縮にはどんな意義があるのでしょうか。
何より自由な時間を拡充します。余暇を楽しみ、趣味の時間に充てたり、家族や友人との時間を充実させたりできます。労働組合や政治活動など社会的活動の時間も、もっと確保できるでしょう。
またジェンダー平等の実現も重要です。長時間労働とジェンダー不平等は密接にかかわっています。男性は長時間働き、女性は家事や育児を担当する。そこで女性の労働は、パートタイムなど家計補助的な労働と位置づけられ、低賃金・不安定の非正規雇用が当たり前とされました。労働時間短縮は、男性も女性も家事・育児を担う時間を保障するだけでなく、ケアを社会化することにもつながります。
加えて、自由な時間の拡大が日本経済の発展につながることです。長時間労働は、企業の目先の利益につながったとしても、社会全体にとっては、自由な活動による消費や需要の拡大につながらないなど、失われている利益も大きいのではないでしょうか。労働時間を短縮すれば、効果が経済発展にもつながるはずです。
運動を広げよう
―政策は、「ともに力をあわせましょう」とよびかけています。
賃上げ、労働時間短縮は、労働者、労働組合のみなさんと広く力をあわせてこそ実現します。あわせて、労働時間規制をさらに骨抜きにする労働基準法の改悪を阻止するためにも、多くのみなさんと力をあわせていきたいと考えています。
政策を知らせる労働者向けのフライヤーもできました。この政策を多くの方に届け、ご意見をお寄せいただき、労働時間短縮、自由な時間拡大の運動をともに大きく広げていきたいです。










