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2024年9月29日(日)

主張

自民総裁に石破氏

日本を守るどころか危険増す

 自民党総裁選で石破茂元幹事長が選出されました。石破氏は総裁選で、「日本を守る」「国民を守る」などのスローガンを掲げました。しかし、訴えた政策を見ると、日本や国民を守るどころか逆に、日本の平和や国民の暮らしをいっそう危機に陥れるものです。

■経済無策引き継ぐ

 石破氏が総裁選政策集の「日本を守る」の項で筆頭に挙げているのは、「憲法改正」です。「国会での議論を促進し、総理在任中の発議を実現」すると表明しています。併せて重大なのは、日米軍事同盟の強化とともに、アジア版NATO(北大西洋条約機構)を提唱していることです。

 北大西洋条約は、加盟国に対する武力攻撃を全加盟国への攻撃とみなし、集団的自衛権を行使して、攻撃を受けた加盟国を援助することを定めています。米国が2001年に9・11テロを口実にアフガニスタンを侵略した際、他のNATO諸国も同条約に基づいて部隊派遣などを行いました。

 石破氏は27日の記者会見で「(NATOのような)集団安全保障の本質は義務だ」と強調しました。石破氏の主張する改憲とアジア版NATOの狙いは、海外での米国の戦争を支援する集団的自衛権の行使を全面的に可能にすることであり、その「義務」化です。アジア地域の軍拡競争をあおり、緊張をさらに激化させる危険な道に踏み込むことは許されません。

 石破氏は「国民を守る」として「物価に負けない賃上げ」などを主張しています。しかし、27日の会見でも、物価高騰の中で「経済無策」と批判を浴びている岸田文雄政権の経済政策を継承する立場を明確にしました。しかも、今の物価高をもたらした「異次元の金融緩和」などアベノミクスへの反省も、解決の具体的な展望も示していません。

 事故が起これば国民に取り返しのつかない被害を及ぼす原発についても「利活用」を主張しています。

■国民の不信拭えず

 今回の総裁選は、岸田首相の政権投げ出しの下で行われました。

 岸田氏が総裁選不出馬を表明した8月の記者会見で理由として挙げたのは、統一協会と自民党議員との癒着、党派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金事件で「国民の政治不信」を招いたことです。

 一方で、岸田氏は、統一協会と自民党との組織的関係を否定し、裏金事件も全容解明を拒否してきました。石破氏も、統一協会との癒着も、裏金事件も再調査に後ろ向きの姿勢を示しています。金権腐敗政治の元凶である企業・団体献金の禁止にも背を向けています。これでは、国民の不信は拭えません。

 石破氏は10月1日召集の臨時国会で首相に指名され、新内閣を発足させる見込みです。衆院解散・総選挙については「野党とも論戦を交わした上で(国民に)判断をもらいたい」とする一方、「なるべく早く審判を受けなければならない」とも述べています。

 臨時国会では、予算委員会を含め、十分な時間を取って審議し、総選挙に向け国民に判断材料を示すことが必要です。日本共産党は、自民党政治のゆがみをもとから変える大改革を訴え、必ず躍進する決意です。


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