2024年9月27日(金)
主張
安全な中絶の日
女性守る環境を政治の転換で
9月28日は国際セーフ・アボーション・デー(安全な妊娠中絶のための権利の日)です。中南米の女性たちの行動が世界に広がり、各国で「私の体は、私が決める」と声を上げる行動がとりくまれています。
かつて奴隷女性は、奴隷主から強制的に妊娠させられ自らの子どもが奴隷とされるのを拒否するため中絶を抵抗の手段としました。
誰でも、妊娠し出産する権利があるように、望まない妊娠に対して中絶を選ぶ権利もあります。
しかし、日本は女性が一人で中絶を決められません。刑法堕胎罪は自己堕胎を禁止し、例外的に母体保護法で認めていますが、原則として配偶者の同意が必要です。子どもは家長=男性のものという家父長制を残したものです。
■包括的性教育急げ
教育の遅れも深刻です。学習指導要領は「妊娠の経過は取り扱わない」とし、子どもたちが正しい避妊方法や性的同意を学ぶ機会は、個々の学校の努力や教員の力量に任されています。
国連の子どもの権利委員会、女性差別撤廃委員会などから「包括的性教育の実施」を求める勧告がだされています。科学と人権の視点に立ち、自分も他者も尊重できる力をつける性教育の推進が急がれます。
包括的性教育の導入に反対しているのが自民党で、「不適切な性教育やジェンダーフリー教育などは行わせない」という姿勢です。自民党の元総務会長が「男ががんばれば女性は3人子どもを産んでくれる」と発言し、「女性を子宮としてしか見ていないのか」との批判が起きたのは当然です。
■世界に遅れる日本
避妊や安全な中絶方法にアクセスしづらいのも日本の特徴です。日本の避妊方法は、女性に決定権がなく失敗率の高いコンドームが多用され、低用量ピルやIUD(子宮内避妊具)の使用率が極めて低い状況です。世界で認可されている注射、腕などに貼る避妊用パッチなどの方法が日本では使えません。性行為後72時間以内に服用するアフターピルは医師の処方箋が必要で1、2万円と高額です。
依然として中絶件数は年間12万件を超えています。これほど多くの中絶件数は、性教育の遅れと手軽な避妊方法が整備されていないことが原因です。世界保健機関(WHO)が必須医薬品リストに登録している経口中絶薬は昨年4月に認可されました。しかし、処置費用が10万円以上と高額です。予期せぬ妊娠に対して、女性が安全な中絶を選ぶ環境が整っていません。
性暴力にあった人を助けるワンストップセンターも少ないうえ、運営が危ぶまれています。先進的に性暴力被害者によりそってきた性暴力ワンストップセンター・大阪SACHICOが存続の危機にさらされています。国はワンストップセンターの存続・強化のために十分な予算を確保し、必要な費用にはすべて補助をだすべきです。
沖縄では、米兵による少女への暴行事件がおき、日本政府は事件があった事実を沖縄県に隠していたことが明らかになりました。
自民党政治では女性の尊厳は守れません。家父長的家族観の押しつけを許さず女性の権利確立のために選挙で政治を変えましょう。