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2024年9月27日(金)

袴田さん再審無罪

静岡地裁 「三つのねつ造」指摘

 静岡県で1966年に、みそ製造会社専務一家4人が殺害された事件で、死刑が確定した袴田巌さん(88)の再審判決が26日、静岡地裁であり、国井恒志裁判長は袴田さんを犯人としてきた重要な証拠で「三つのねつ造がある」として無罪(求刑死刑)を言い渡しました。判決は、袴田さんが“自白”したとする調書は平均12時間に及ぶ「肉体的・精神的苦痛を与えて供述を強制する非人道的な取り調べで獲得した」ものと指摘し、証拠から排除しました。


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(写真)無罪判決の旗出しで、笑顔を見せる姉、袴田ひで子さん(左から2人目)と弁護団ら=26日、静岡市葵区

 最大の争点は「5点の衣類」でした。事件発生から約1年2カ月後、工場のみそタンクの中から見つかった血痕が付着したシャツや下着などで、袴田さんの犯行着衣とされました。

 判決はこれについて、「発見に近い時期に身柄を拘束されていた袴田さん以外の者が、衣類を加工しみそタンクに入れた。ねつ造した者として捜査機関の者以外を想定できない」として、これも証拠から排除。また袴田さんの実家から押収された「5点の衣類」と同素材のズボンの布切れについても「捜査機関によってねつ造された現実的可能性」を指摘しました。

 国井裁判長は、これら3点の証拠を排除すると袴田さんの「犯罪の証明がない」としました。

 長年、死刑執行の恐怖にさらされ続け、精神障害の一つの拘禁症の症状がある袴田さんに代わって、姉の袴田ひで子さん(91)が判決に臨みました。無罪判決が言い渡された後、席に戻ったひで子さんは弁護人と力強く握手し、時折ハンカチで目を拭いながら、判決理由を聞きました。

 判決を述べ終えた国井裁判長は「長い時間がかかったことは、裁判所としては申し訳ありませんでした」と、ひで子さんに語りかけました。


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