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2024年9月26日(木)

きょうの潮流

 好天に恵まれた紅葉シーズンの週末でした。大勢の登山者でにぎわう昼時の山頂付近に突然立ち上った噴煙。火山灰や熱風に巻き込まれ、暗闇となったところに無数の噴石が降り注ぎました▼死者58人、行方不明5人、多数の負傷者をだした御嶽(おんたけ)山の噴火からあすで10年となります。六つの活火山を抱える長野県は昨年から9月27日を「信州火山防災の日」と定め、噴火災害を風化させず防災意識を高める日としています▼節目を前にした連休の御嶽山には家族連れなどたくさんの登山者が訪れていました。直登ルートが解禁された王滝口には災害の記憶や火山情報を伝えるビジターセンターが設置されていますが、なかには登ってから見学にくる人も▼立ち入り規制が緩和されるなかでふたたび増え始めた登山者。避難用シェルターも設けられましたが、被災者の家族らはそれだけでは不十分だとして事前に情報を得られる重要さを訴えています▼気象庁が噴火警戒レベルの引き上げを怠ったとして遺族らが国や長野県に賠償を求めた裁判も続いています。世界有数の火山国である日本で備えや観測体制はとれているか、自然災害を人災としない対策は施されているか。いまも政府に突きつけられています▼長い歴史のなかで噴火をくり返してきた御嶽山。広いすそ野をもつ悠然としたその姿を人々はあがめ、自然の恵みをうけてきました。火山とともに生きる。噴火災害の教訓は、国の役割とともに登山への心構えの大切さを改めて教えています。


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