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2024年9月25日(水)

主張

日本母親大会

「核なき地球」の原点に立って

 ビキニ水爆被災70年の今年、第69回日本母親大会が28、29の両日、和歌山県で開催されます。

■原水爆禁止の願い

 70年前の3月1日。米国が中部太平洋のビキニ環礁で行った世界初の水爆実験は、日本国民を「死の灰」の恐怖に陥れました。

 日本母親大会はその翌年、原水爆禁止署名が燎原(りょうげん)の火のように広がるなかで第1回の幕を開けました。第五福竜丸で犠牲になった故・久保山愛吉さんの妻、久保山すずさんが夫の最期の言葉を伝え、「このような恐ろしい兵器があるかぎり、私たち日本人は生きていくことはできません」と訴えたことは参加者の涙と固い決意を呼び起こしました。

 「核戦争から子どもを守ろう」との熱い願いこそ日本母親大会の原点です。全体会(28日・オンライン併用)では、東京都立第五福竜丸展示館学芸員の安田和也さんによる「第五福竜丸、みんなの船――ビキニ水爆実験70年、世界のヒバクシャとともに核兵器なき地球を」と題する記念講演が行われます。

 和歌山県は第五福竜丸を建造した地であり、県内でも30隻の漁船がビキニで被災しました。28年間、熊野灘の海中に没していた同船のエンジンを、市民の呼び掛けによって引き揚げた地でもあります。その和歌山で初めて開かれる日本母親大会です。

 核大国による核威嚇に世界の厳しい抗議が起きているいま、核兵器のない世界実現への願いと運動を交流しあう場として大きく成功させましょう。

■運動を持ちよって

 私たちの暮らしはかつてないほど苦しくなっています。厚生労働省が毎年行っている国民生活基礎調査では、昨年、生活が「苦しい」と回答した世帯が前年から8ポイント余り増え、59・6%にものぼりました。統計が始まった1986年以降、最悪の数字です。

 物価高騰のうえに、いまの米不足・米の高値も生活苦に拍車をかけており、庶民の暮らしも主食の安定も顧みない自民党政権に女性の怒りは募っています。

 子どもをめぐる問題でも、いま日本では不登校・登校拒否の子どもの数が過去最多となっており、何が子どもたちを追いつめているのか、教育と社会のあり方を見つめ直すことが切実に求められています。

 10月にはジュネーブで、国連女性差別撤廃委員会による8年ぶりの日本審査が行われます。委員会から再三勧告されている女性差別撤廃条約選択議定書の批准や選択的夫婦別姓の導入は待ったなしの課題になっています。

 平和から暮らし、子育てや教育、環境、そしてジェンダー平等―。母親大会は、日本列島すみずみからのさまざまな女性たちの願いと運動を持ちよって歩み続けてきました。「母親大会は私たちの学校」と、そこに集い、語り、学び合った参加者たちが、それぞれの地域でまた新たな草の根の運動を起こしていく力になってきました。

 若い世代がつながる「ゆるっとおしゃべり会」(今大会の若い世代企画)など、運動を次世代につなぐ役割も果たしています。その歴史と意義を確認し、大会の成功に力を合わせましょう。


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