2024年9月25日(水)
きょうの潮流
最近、あるアニメオタクの女性に会うと『らんま1/2』の話題ばかりです。1989年にアニメ化され、中高生に大人気でした。原作は少年誌に連載された高橋留美子氏の漫画。その新作アニメが10月から放送されます▼彼女の興味はかつて自らも目指した声優。お湯と水で男女が入れ替わる主人公・早乙女乱馬や婚約者の天道あかねをはじめ主要キャストの声優陣が89年版と同じ。「エモい!」と興奮気味です▼昔アニメ化された作品をリバイバルする際、声優陣が交代して、かつてのイメージが変わってしまうことはありがち。古参ファンを引き留めつつ新たなファンを獲得する。新声優陣の腕の見せどころです▼声優が交代しても時代を超えて愛されるアニメには、その原作漫画の世界観やそれを支えるキャラクター、伝えようとするメッセージに一貫性と説得力があるからです。昔はやったアニメが現代でも愛されるとは限らない▼自民党の総裁選に乱立した候補の演説や討論を聞いていても何を変えようとしているのかわかりません。そもそも岸田文雄首相が辞めなければならないのは、自民党が始めた物語の「原作」そのものが国民から愛想を尽かされたからなのでは▼統一協会との癒着、裏金を代表とする金権腐敗、国民が願ってもいない改憲、財界言いなりの社会保障削減…。国民が望んでいるのは、政治のおおもとの改革です。同じ物語を異なる「声優」がしゃべっているだけでは、あっという間に国民に見抜かれてしまいます。