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2024年9月24日(火)

陸自音楽隊、通達違反か

特攻隊顕彰の宗教行事で演奏

祭壇前で「海ゆかば」など

 旧日本軍による特攻作戦での戦死者を顕彰する護国神社(福岡市)での宗教行事で、陸上自衛隊第4師団(福岡県春日市)の第4音楽隊が演奏していたことが、23日までにわかりました。宗教行事での音楽隊の演奏は、防衛省の内部通達で「宗教的活動に関与したことになるので、厳に慎むべき」だとしており、この通達に違反する疑いがあります。


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(写真)陸上自衛隊の音楽隊が派遣された護国神社=福岡市中央区

 本紙は防衛省への情報公開請求で「演奏支援実施計画」を入手しました。これによると、5月11日に音楽隊の隊員25人が「福岡県特攻慰霊顕彰会式典」に派遣されました。

 「計画」では「懐かしの戦時歌謡」などを演奏するとしています。行事では歌っていませんが、演奏曲の歌詞は、兵士の自己犠牲を賛美するものが目立ちます。軍歌「空の神兵」は「肉弾粉と砕くとも撃ちてしやまぬ 大和魂」という歌詞です。「歩兵の本領」は「大和男子と生まれては散兵線の花と散れ」となっています。

 この行事を報じたNHKニュースによると、音楽隊は「海ゆかば」など約10曲を演奏しました。この曲は「海ゆかば 水漬く屍(かばね)」「大君の辺にこそ死なめ」という歌詞です。

 同ニュースによると、航空自衛隊西部航空方面隊の稲月秀正司令官が行事に出席し、玉串を差し出すなど神事に参加しました。稲月司令官は「私的な活動」と説明しているといいます。

 第4音楽隊は、行事の第2部から参加。神事が行われた会場の祭壇そばで演奏をしていました。

 1974年の事務次官通達「宗教的活動について」では「宗教的色彩を帯びた行事(神官、僧侶、牧師等の主宰する祭典、儀式等)に溶込んだ形で、自衛隊の音楽隊、ラッパ隊、儀じょう隊等が参加することは、主催者が宗教団体、非宗教団体のいずれを問わず、宗教的活動に関与したことになるので、厳に慎むべき」だとしています。また「部隊等が宗教的色彩を帯びた行事に労力支援、物品貸与等の便宜を供することは(中略)宗教的活動に対して便宜を供したことになる」と禁止しています。第4音楽隊の演奏は、これに違反する疑いがあります。

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(写真)本紙が情報公開請求で入手した音楽隊の実施計画。「空の神兵」などの演奏曲が記されています


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