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2024年9月21日(土)

主張

認知症と社会の支え

介護制度切り縮めてきた自公

 きょうは「世界アルツハイマーデー」です。

 厚労省が5月に公表した調査では、日本の認知症の高齢者は2025年には約472万人、40年には約584万人で高齢者の6・7人に1人と推計されます。生活に支障がない軽度認知障害の人は40年に約613万人にのぼるとされます。支える子ども世代にとっても人ごとではありません。

 1月に施行された認知症基本法は、すべての認知症の人が地域で安全・安心に自立した日常生活を営めるよう、良質で適切な保健医療や福祉サービスが切れ目なく提供されることを基本理念に掲げています。

■重要な初期の支援

 そのために、「認知症の人と家族の会」など当事者が一番に求めているのは介護制度の拡充です。しかし、自公政権がやってきたのは「自助・共助」の名のもと介護保険制度を一貫して切り縮めることです。

 安倍晋三政権は14年に、要支援1・2の人の訪問介護・通所介護の保険給付外しを強行しました。市町村の事業にされ、専門職によらない安上がりのサービス提供が推奨されました。

 認知症では初期に適切な支援を受けることが重度化の予防に重要です。生活支援が乏しくなると社会との交流が減り、認知症が進行しやすくなります。家族の負担だけでなく、地域で暮らすのが困難になり、ひいては社会全体の負担も増します。

 自公政権は認知症支援で肝心な、この初期の支援を切り捨てました。さらにいま、強い反対を受けて先送りしたものの、要介護1・2の人まで介護保険から外すことを狙い続けています。介護度の認定では身体機能が重視され、認知症の人は軽く判定されがちなため、「軽度者」切り捨ての影響はより深刻です。

 保険料を払ってきたのにサービスを受けられない“国家的詐欺”と言われる状況です。

 14年の改悪では、特別養護老人ホームなどの入所要件を要介護3以上に限定しました。また、00年の制度開始以来1割だった利用料負担に2割負担(一定額以上の所得者)を持ち込みました。18年からは3割負担が導入され、現在、政府は2割、3割負担の対象者を拡大しようとしています。

 安倍政権は18年、ホームヘルパーが高齢者宅を訪問し調理や掃除を行う介護保険の「生活援助」の実質的な回数制限も強行しました。認知症の人がなるべく良い状態を維持して地域で暮らすには生活援助が不可欠です。回数制限は在宅の生活を困難にしています。

■地域で暮らせない

 いま介護基盤そのものが崩れてきています。1~8月の介護事業所の倒産は過去最多(東京商工リサーチ調べ)、とくに4月に基本報酬が下げられた訪問介護事業所がつぶれ、訪問介護事業所のない市町村が増えています。長年、基本報酬が下げられた結果、ヘルパーの給与は全産業平均を月額約6万円も下回り、ヘルパー不足が深刻です。

 こうした事態を招いたのは自公政権の社会保障切り捨て政策です。認知症の人が地域で自立して安心して暮らすためには、自公政治を転換し、国庫負担率を引き上げるなど国が責任を果たすことが不可欠です。


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