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2024年9月19日(木)

主張

安保法制強行9年

日本に戦火招く危険なくそう

 2015年9月19日に当時の安倍晋三・自公政権が国会で安保法制=戦争法の成立を強行してから9年がたちました。

 安保法制は、歴代政府が「憲法上許されない」としてきた集団的自衛権の行使を可能にするなど、立憲主義を乱暴に踏みにじり、戦後の安全保障政策を大転換させました。海外で戦争を始める米軍を自衛隊が支援するため、補給や輸送などの兵站(へいたん)を拡大・強化するとともに、戦闘にも参加できるようにしたのが大きな柱の一つです。

■米国の戦争を支援

 その後、岸田文雄・自公政権は22年12月に「戦後安保政策の実践面での大転換」として「安保3文書」を閣議決定しました。同文書が、中国や北朝鮮を念頭に、相手国領内を長距離ミサイルなどで直接たたく敵基地攻撃能力の保有を打ち出したことにより、安保法制が発動され、日本に戦火が及ぶ危険がいよいよ現実味を帯びてきています。

 安保法制は、海外での米国と第三国の戦争が「わが国の平和と安全に重要な影響を与える事態」(重要影響事態)だと日本政府が判断すれば、自衛隊が米軍に広範な兵站を行うことを可能にしました。さらに「わが国の存立が脅かされる明白な危険がある事態」(存立危機事態)と認定すれば、日本は集団的自衛権を行使し、米軍を支援するため自衛隊が戦闘に加わることもできるようにしました。

 政府は、安保法制に基づき集団的自衛権を行使する場合、敵基地攻撃能力の発動もあり得るとしています。集団的自衛権を行使すれば第三国が日本を攻撃し、大きな被害が生まれることも否定していません。日本が大規模な報復攻撃を受ける恐れがあるということです。自衛隊施設の強靱(きょうじん)化として司令部の地下化などが全国で進められているのもそのためです。

 とりわけ台湾をめぐる米軍と中国軍との戦争(台湾有事)については、政府・自民党内などから、「重要影響事態」や「存立危機事態」に当たるとの指摘が上がっています。その場合、米軍基地が集中し、自衛隊の長距離ミサイル配備や兵站能力の強化が狙われている沖縄など南西諸島は戦争の最前線となり、真っ先に攻撃目標となります。

■総裁候補は推進派

 今行われている自民党総裁選には、9人が立候補していますが、安保法制や安保3文書の問題はほとんど議論になっていません。多くの候補者が安保法制の成立強行や安保3文書の閣議決定の際に大臣を務めるなど、深くかかわっていたからです。

 安保法制強行時の第3次安倍内閣には、高市早苗、上川陽子、林芳正、石破茂の各候補がいました。

 安保3文書決定時の第2次岸田文雄改造内閣には、河野太郎、加藤勝信、高市、林の各候補がいました。茂木敏充氏は当時から自民党幹事長です。

 このほか、小泉進次郎氏や小林鷹之氏も安保3文書の実行や加速を公約しています。

 日本に戦火を招く危険をなくすため、安保法制と安保3文書の廃止とともに、東アジアの平和構築に向け、憲法9条を生かした外交を求める運動を大きくすることが必要です。


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