2024年9月12日(木)
きょうの潮流
「知の総和」という言葉があるらしい。人の数と質をかけあわせたもので、人口減少の日本にとって一人ひとりの能力を高めていく必要があるといいます▼高知大の学長が本紙に語っていました。知の総和を保つためにも「授業料の無償化にかじを切るべきだ」と。世界でも異常な高学費にあえぐ日本の現状。奨学金の貸与総額は10兆円にのぼり、若者たちは返済苦にさいなまれています▼大学への予算も諸外国は大幅に増やしているのに日本は抑制。国の交付金も削減され、高等教育への公費投入はG20の中でも最下位クラスです。これでは学問への道はますます閉ざされ、大学の運営も研究環境も厳しくなるばかりです▼そんななか東大が来年度の入学者から授業料を値上げする方針を公表しました。10万円をこえる引き上げで、他の国立大学への波及も懸念されます。反対の声を無視された学生たちは「高等教育機関として極めて不誠実であり、学問の府としてあるまじき態度」だと抗議しています▼すべての国民が等しく教育を受ける権利を保障する憲法や教育基本法にも反する学費値上げ。高等教育の無償化を進めていこうとする世界の流れとも逆行しています▼志位議長の欧州訪問で会談したフランス共産党の幹部は、同国の共和主義を支える市民を育てるためにはすべての人への教育が必要で無償化は当然のことだと。知は力なり。無償化を求めるたたかいは、それぞれの人生を切り開くとともに、この国の未来にもつながるはずです。