2024年9月11日(水)
主張
「赤旗」JCJ大賞
政治のゆがみ正す役割さらに
「しんぶん赤旗」日曜版の自民党派閥の政治資金パーティー収入不記載のスクープと一連の裏金報道が、優れたジャーナリズム活動を表彰するJCJ(日本ジャーナリスト会議)大賞を受賞しました。
自民党の「大政治犯罪」を明らかにし、「2023年から24年にかけての日本の政治を揺り動かし」、裏金問題が最大の政治的焦点となったのは「『日曜版』の報道がなくしてはできなかった」のが選考理由です。
■日本代表する媒体
日曜版の大賞受賞は安倍晋三政権の権力私物化を告発した「桜を見る会」スクープ以来4年ぶりです。21年には菅義偉政権の日本学術会議への人事介入を告発した日刊紙の報道がJCJ賞を受賞しており、「赤旗」の入賞は20年代に入って3度目です。「赤旗」は日本を代表するジャーナリズムとして社会的に認知され、その地位をより確かなものにしています。
裏金問題の端緒を切り開いたのは日曜版の特報と、それを受けた上脇博之神戸学院大学教授による東京地検への刑事告発でした。「きっかけは…2022年11月のしんぶん赤旗日曜版」「これがやがて裏金事件として…岸田文雄首相の退陣までつながっていく」(「朝日」2日付夕刊)のです。
当初、日曜版のスクープを後追いしなかった大手メディアは、東京地検特捜部が捜査に乗りだしてから、やっと動き出しました。
日曜版の報道は自民党ぐるみの組織犯罪を浮き彫りにしました。同党が公表せざるをえなかった「裏金議員」は衆参計82人。「そのスケールの点では、1975年の『田中金脈』報道や、88年の『リクルート事件』報道を超える」(選考理由)ものとなりました。
海外メディアでも、「日本を震撼(しんかん)させた『自民党裏金』スクープ」(韓国紙・ハンギョレ新聞)、「日本の政治を方向づけている」(英誌『エコノミスト』)などと話題になりました。
■党の機関紙でこそ
なぜ大手メディアではなく政党機関紙の「赤旗」なのか。
政治資金収支報告書という、誰もが閲覧可能な情報を出発点に多くの団体の報告書を1枚ずつ調べ、派閥側の収入とつきあわせて不記載を見つけるのは「気の遠くなる地道な作業」(上脇氏)です。日曜版編集部記者の強い追及の意思と、粘り強い努力の賜物(たまもの)です。
同時に、政党助成金もパーティー券購入を含む企業・団体献金も一切受け取らず、党費と「赤旗」購読料、国民の寄付で党を運営している日本共産党の機関紙だからこそ、遠慮なく追及できたのです。企業・団体献金の禁止を訴え続け、歯をくいしばって自前の党財政をつくってきた全党、読者の皆さんと共に大賞の受賞を喜びたいと思います。
12日告示の自民党総裁選に向け多数の候補が名乗りをあげています。しかし、どの議員も裏金事件の反省はなく、カネが「力の源泉」という自民党の体質は変わらないままです。表紙をかえて、裏金問題を再び裏のままにするのは絶対に許せません。
「赤旗」は権力の監視、真実の報道というジャーナリズムの大道を歩み、政治のゆがみをただす役割をさらに果たす決意です。