2024年9月7日(土)
きょうの潮流
将棋のルーツは古代インドにさかのぼるといわれます。サンスクリット語で四つの組を意味するチャトランガというゲームが原型で、象、馬、戦車、歩兵の四隊だった当時の軍を模し、そこに王の駒を加えました▼西へ伝わったチャトランガはチェスに、東に伝わって象棋(シャンチー)と呼ばれる中国将棋へと変化していきます。日本でも11世紀初めには僧や民衆の間で親しまれていたといいます(『将棋400年史』)▼将棋や囲碁を楽しむ人びとが全国に広がったのは、明治に入り新聞に載るようになってから。戦後はタイトル戦も増えテレビ放送も。本紙も70年代から若手棋士の登竜門、新人王戦を主催してきました▼あす日本将棋連盟は創立100年を迎えます。ホームページによると、1924年9月8日は3派に分かれていた東京の棋士団体が合同し、東京将棋連盟を結成した日。その3年後に関西の団体が合流して日本将棋連盟に改称しました▼一時は八大タイトルを独占した藤井聡太氏の活躍でにぎわう将棋界。しかし直近の「レジャー白書」をみると、将棋人口は460万人、囲碁人口も130万人と前年から減少。レジャーの多様化に伴い、ともに先細り傾向が続いています▼100周年の節目は日本棋院も同じです。歴史を重ね、根づいてきた伝統文化。「将棋の奥深い可能性は、ルールができて400年の歳月が流れても底は見えません」と羽生善治・将棋連盟現会長。そして、世代を超えてコミュニケーションがとれる稀有(けう)な存在だと。