2024年9月6日(金)
東電、一度も確認せず
デブリ取り出し 1カ月ミス放置
福島第1原発
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福島第1原発事故で溶け落ちた2号機の核燃料(デブリ)の試験的取り出し作業を中断した問題で東京電力は5日、記者会見を開き、デブリを採取する装置を押し込むパイプの順番の並び順を間違って取り付けていたのに、取り出し作業開始までの約1カ月、東電や元請けの三菱重工業の担当者が順番通りかを一度も確認していなかったと説明しました。同社の廃炉・汚染水対策最高責任者の小野明氏は「(協力)企業の確認に任せていた。大いに反省すべきだと思っている」と述べました。
取り出し作業の再開には工程の確認や手順書の見直し、パイプの入れ替えなどに数日かかるといいます。
試験的取り出しに向けた準備作業は先月22日に開始。「テレスコ式」と呼ばれる伸縮する装置を原子炉格納容器の接続部まで進入させましたが、5本あるパイプを取り付ける順番の誤りが見つかり、作業を中断しました。
東電が5日に公表した原因によると、7月下旬に作業員が5本のパイプのうち4本を原子炉建屋に搬入し、残る1本を残したものの、予定の被ばく線量に近づいたため、すべて搬入したと思い込んでいたといいます。
元請けの工事担当者は現場を確認せず、ケーブルをパイプに通す作業を作業員に指示し、並び順を間違えてつなげました。その後、パイプが1本足りないことに気づき、搬入したものの、並び順は順番通りではありませんでした。元請け企業が作成し東電が確認する手順書には、パイプの番号の識別などは記載がなかったといいます。東電はパイプの搬入などは「一般的な準備作業」として順番を確認しなかったといいます。
試験的取り出しは計画によると、約2週間かけて、装置を格納容器内に投入し、底部にたまったデブリのうち、重さ3グラム以下のものを採取する予定です。
7月27日 | 5本の押し込みパイプを2号機原子炉建屋に搬入する予定が、被ばく線量を理由に1本残して終了 |
28日 | 元請け工事担当者が現場を確認せず1本残したまま、パイプにケーブルを通す作業を指示 |
29日 | 残る1本の番号を確認せず、元請け工事担当者の指示に従い、順番を間違えてケーブルを通す作業を実施。 |
8月22日 | テレスコ式装置にパイプ1本目の接続準備をしていた時、順番の誤りに気づき、作業を中断 |