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2024年9月6日(金)

主張

自民改憲論点整理

「9条守ろう」を国民多数派に

 自民党総裁選で立候補を表明したり、予定したりしている候補者はすべて早期の憲法改定を主張しています。自民党は2日、憲法改正実現本部で、憲法への自衛隊明記などに関する論点整理をまとめました。岸田文雄首相は政権を投げ出しながら、「新しい総裁にも(論点整理を)しっかり引き継いでもらえるよう申し送りをする。自民党の力を結集し、憲法改正を実現したい」と表明しました。

 憲法への自衛隊明記の狙いは海外派兵の全面自由化です。その危険性を広く知らせ、早ければ10月の可能性もあるとされる衆院選挙で、自民党の議席を減らし日本共産党を大きく伸ばして「改憲ノー」の国民の意思を示すことが必要です。

■武力行使無制限に

 論点整理は、岸田首相が8月上旬に早期の取りまとめを指示していたものです。憲法への自衛隊の明記については、2018年に当時の党憲法改正推進本部が作成した「条文イメージ(たたき台素案)」(以下、素案)の枠組みを前提に、今後も検討を進めることを確認しました。

 憲法9条は、1項で武力による威嚇と武力の行使を永久に放棄するとし、2項で陸海空軍その他の戦力を保持しないと規定しています。素案は自衛隊の明記について、9条の後に「9条の二」を新たに設け、「前条(注・9条)の規定は…必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として…自衛隊を保持する」とします。

 「自衛の措置」には、個別的自衛権だけでなく集団的自衛権の行使を含むという解釈が可能です。集団的自衛権の行使とは、日本が武力攻撃を受けていないのに、他国に対する武力攻撃を阻止するために武力を行使することです。集団的自衛権行使の名で、海外で戦争をする米軍を支援するため、自衛隊が武力を行使することが可能になります。

 政府は、15年に成立を強行した安保法制で、日本の存立が根底から脅かされた事態(存立危機事態)に限って集団的自衛権の行使を認めました。しかし、今も、9条があるため「フルスペックの(全面的な)集団的自衛権の行使はできない」「武力行使の目的を持った海外派兵はできない」との建前をとっています。

 しかし、素案の「自衛の措置」は、9条の規定に妨げられないとし、その範囲も無限定です。まさに9条を死文化し、これまでの建前さえ取り払い、集団的自衛権の全面的行使、海外での無制限の武力行使に道を開くことになります。

■独裁政治に道開く

 論点整理は、憲法への緊急事態条項の創設についても、国会議員の任期延長の特例や、内閣が法律と同じ効力がある緊急政令を国会に諮らず制定できることを盛り込んだ素案の枠組みを前提に、議論を進めるとしました。緊急事態の対象には、大規模災害に加え、武力攻撃やテロ・内乱なども含まれるとしています。

 9条改憲と一体に、「有事」の際に国民の基本的人権を制限し、時の権力による独裁政治を可能にしようとするものです。

 「憲法9条を守ろう」「9条を生かした平和外交を」の世論と運動を圧倒的な国民多数派にしていくことが求められます。


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