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2024年9月6日(金)

強制不妊 後世に恥じぬ検証を

優生連が提言を発表

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(写真)会見で提言について説明する優生連のメンバー=5日、東京都千代田区

 「優生保護法問題の全面解決をめざす全国連絡会(優生連)」は5日、旧優生保護法(1948~96年)による強制不妊手術をめぐる訴訟で最高裁大法廷が同法は違憲だとして国に賠償を命じた判決を出し、国が被害者の救済と補償に向けて動きだしたことを受け、「全面解決に向けた提言」を発表しました。

 提言は被害者への補償に関する法律について、▽優生手術等の被害者への謝罪▽被害者の尊厳の回復と賠償▽調査・検証▽優生思想の否定と再発防止を法律の目的にすること―を要請。「国が責任の主体であること、ならびに被害者への謝罪と全面解決に向けた決意を明文化すること」を強調しています。

 優生連は同日、厚生労働省内で会見を開きました。

 「優生保護法は終わったが優生問題は終わっていない」と強調したのは共同代表の藤井克徳さん。真相究明のための第三者機関を国や都道府県に設置することについて、「なぜ法律が生まれたのか、なぜ48年間も日本に君臨したのか、なぜ適正な対応がなされてこなかったのかなど、本当の実態をもう一度きちんと検証する必要がある。後世に恥じない『あの時にけじめをつけた』と言えるようにしたい」と話しました。

 共同代表の利光惠子さんは、優生手術を受けた事実を現在も知らなかったり、精神病院に長期入院している人などで判決自体を知らない人もいると指摘。「国や自治体は記録を精査して実態を明らかにして、被害者を掘り起こさなければいけない」と訴えました。

 藤井さんは、優生思想と障害のある人への差別を根絶するための立法措置について、社会全体や全省庁に影響を与える「優生思想根絶基本法」のような法律をつくるべきだと強調。その際には、障害者権利条約や国連の総括所見などの国際規範を踏まえることが重要だと話しました。

 また、教育や医療、福祉など対人支援職種に従事する人に対してや学校教育の場で、正しい障害者観や旧優生保護法について学習することも差別の根絶につながると話しました。「旧優生保護法の問題は過去のことではない。精神科病院での人権侵害や障害者が地域に住みづらい問題などが今もある。優生保護問題を深めることは障害者問題の近未来の足場を固めることになる」と述べました。

 優生連の提言は他に、賠償の対象者について、優生手術で生殖能力が不能になった人だけでなく、人工妊娠中絶を強制された人、その配偶者も含めることなども要求しています。

 優生連は、優生議連に影響を与えるために提言を同日中に各党や関係省庁に送付。自民党総裁選と立憲民主党代表選の候補者にも質問状と合わせて送るとしています。


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