2024年9月5日(木)
第49期 囲碁新人王戦 24日から決勝三番勝負
天才と秀才 期待の対決
囲碁の第49期新人王戦(しんぶん赤旗主催)は、準決勝まで終了し、決勝三番勝負は、三浦太郎三段(19)対藤井浩貴三段(22)の対決となりました。決勝三番勝負の展望・見どころを、本紙観戦記者の品田渓さんに聞きました。
2月に、本戦トーナメント表が決まったときに展望・見どころをお話ししました。「全体として、トップと下位の実力差が小さく、わずかな差で勝敗が決まることが多くなると予想します」「実力差が比較的小さいため、調子がよいときに当たれば、格上の相手を倒すチャンスは大いにあり、熱戦が期待されます」とのべました。
この概要部分は、だいたい当たったと思います。
ただ、「ビッグ3」と予想した、藤沢里菜七段、福岡航太朗五段、張瑞傑六段の3人が、一人もベスト4に進出できず、私の予想は大外れでした。
今回決勝に進んだ三浦太郎三段と藤井浩貴三段は、前評判は高く、2人とも、「強い」「そのうちきっと来る」とは言われていました。ただ、本戦開幕時点では実績はなかったので、ここまで勝ち上がるとは予想しませんでした。
違うタイプ
2人とも、序盤研究が深く、得意としていますが、タイプは違います。
藤井三段は、天才肌です。師匠の藤澤一就八段が、藤井少年の碁を見て、「センスがすばらしい」とほれ込んでスカウトしたといわれています。
ただ、“入段(プロ入り)してしばらくは、囲碁にたいするモチベーションがあまり上がらなかった”そうで、これは本人が話しています。姉弟子の上野愛咲美さんが、毎日、日本棋院に通って囲碁に打ち込んでいる姿、その活躍を見て、自分も毎日、日本棋院に通って囲碁の勉強に打ち込むようになったそうです。
ですから、囲碁に本気で取り組み始めたのがわりと最近で、やや遅めの“伸び盛り”を迎えている印象です。
三浦三段は、秀才型です。とくに序盤の研究は深く、よく知っている印象。ムラがなく、総合力が高く、スキがないタイプといったらよいでしょうか。へんな表現ですが、“普通に強い”といった感じです。
視野が広い
「実利重視」と「中央志向」のタイプでいえば、藤井三段はやや中央志向寄り、三浦三段はバランス型でしょうか。視野がとても広いことは、2人とも共通しています。
2人とも、「戦い大好き」な棋風ではなく、洗練されたスマートな碁を打ちます。
序盤が得意な2人だけに、どんな序盤戦になるのか、ここが一番の見どころだと思います。
ムラなし、スキなし
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みうら・たろう 2004年11月14日生まれ。東京都出身。洪清泉四段門下。20年度入段(冬季採用試験1位)。23年三段昇段。
やや遅めの伸び盛り
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ふじい・こうき 2002年7月25日生まれ。静岡県出身。藤澤一就八段門下。20年度入段(夏季採用。24年三段昇段。
決勝三番勝負の日程
第1局 9月24日(火)
第2局 10月1日(火)
第3局 10月8日(火)
いずれも対局場所は日本棋院東京本院。(対局開始は午前10時)