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2024年8月31日(土)

主張

軍事費の概算要求

暮らし壊す際限なき軍拡予算

 防衛省が2025年度の軍事費(防衛関係費)の概算要求を決めました。総額は8兆5389億円で、過去最大です。米軍再編経費など具体的な金額が確定していない「事項要求」があり、最終的にはさらに膨れ上がることになります。

■後々まで国民負担

 岸田文雄・自公政権は22年末、安保3文書の一つ、「防衛力整備計画」で、23年度から5年間の軍事費を総額で43兆円にすることを決めました。その下で軍事費は、23年度に前年度から約1兆4千億円増えて、約6兆8千億円と史上初めて6兆円を超え、7兆円に近づきました。さらに24年度は約7兆9千億円となり、8兆円に迫りました(いずれも当初予算。米軍再編経費など含む)。これは、24年度の文教予算(約4兆円)のほぼ2倍です。

 今回の概算要求に、近年は2千億円強で推移している米軍再編経費などを加えると、9兆円に近づきます。毎年、巨額の上積みを続ける異常極まりない大軍拡です。

 概算要求額の52%に当たる4兆4527億円が、24年度以前に結んだ兵器調達などの契約に基づく支払い(歳出化経費)となっているのも重大です。契約額が急増したのが原因で、今後も大軍拡が続けば後払いは雪だるま式に増え、後々まで国民にばく大な軍事費の負担を背負わせることになります。

 中身も極めて危険です。

 安保3文書で決めた憲法違反の敵基地攻撃能力の保有を加速させ、運用態勢を強化します。

 具体的には、▽米国から最大400発を購入する長距離巡航ミサイル・トマホークを25年度に配備▽国産の長距離ミサイル「12式地対艦誘導弾能力向上型」はすでに量産に入っている地上発射型を25年度に配備するとともに、艦艇発射型の量産に着手▽潜水艦から発射する国産の長距離ミサイルの量産にも着手▽音速の5倍以上で飛行できる「極超音速誘導弾」の製造態勢を拡充―などです。

 さらに、一定の軌道上に投入した多数の小型人工衛星を連携させ、攻撃目標を探知したり、追尾したりする「衛星コンステレーション(群)」を構築するため、25年度から段階的に衛星の打ち上げを始めます。経費は3232億円にも上ります。

■「死の商人国家」

 岸田・自公政権は3月、日本がイギリス、イタリアと共同開発する次期戦闘機を英・伊以外の第三国にも輸出可能とすることを閣議決定しました。

 6月には次期戦闘機の開発・生産や輸出を推進する3カ国共同の機関(GIGO)を設立する条約の国会承認を強行しました。これまで3カ国がそれぞれ実施していた機体やエンジンの設計などの作業が25年度から、GIGOの下で一元化されます。概算要求では、GIGOへの拠出金など次期戦闘機の開発に1127億円を盛り込んでいます。日本を「死の商人国家」におとしめるもので許されません。

 平和を脅かし、国民の暮らしを押しつぶす大軍拡にストップをかけることが必要です。憲法9条を生かした外交で東アジアに平和をつくる政治への転換が求められています。


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