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2024年8月31日(土)

きょうの潮流

 「知的障害のある人が自身の性被害を訴えるのは難しい。裁判の中で言えた本人の努力は素晴らしい」。軽度知的障害のある女性の性被害裁判を支援する永野佑子さんはこう話します。元中学校教員で障害児学級の担任を長年務めてきました▼女性はかつて働いていた障害者作業所の元施設長から数年にわたり複数回、性虐待を受けました。当初はかわいがられていると思っていた女性。たびたびその様子を目撃していた臨時職員の今井眞理江さんが働きかけ、性加害だと気づきました▼お金はいらない。仲間が通う職場はそのままに、元施設長には福祉の仕事に就かないでほしい―。女性の願いに加害者だけでなく運営法人までも背を向けたため、やむなく提訴しました▼法廷で女性は緊張しながらも思いを語りました。同時に、加害者側の代理人弁護士からの質問に、黙る場面も。裁判長からその理由を問われ、「思い出すとつらい」。「誰かに殺してほしいという気持ちは今もなくならない」とも▼女性の心の傷は癒えることはありません。それでも一歩踏み出したことで、勝訴判決をかちとりました。知的障害のある人が自身の被害を認識し、加害者に対し行動を起こすことが、回復の道に。永野さんは、女性が裁判を通して「大きく成長した」と目を細めます▼女性を支援する輪は大きく広がり、400人を超えました。その一人、判決を傍聴した山内金久さんはいいます。「性被害を訴えてたたかっている女性たちを励ます大きな一歩です」


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