しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2024年8月31日(土)

“温室ガス削減策が不十分”

韓国憲法裁、法律改定命じる

 韓国の憲法裁判所は29日、温室効果ガスの排出削減目標を定めた「炭素中立基本法」が、未来世代に負担を強い、人権侵害を引き起こすとして、憲法違反との判決を言い渡しました。韓国メディアなどが報じました。

 訴訟は、2020年に始まり、多くの若者や子どもを含む約250人が原告になりました。環境保護団体は、同判決が政府に気候対策の改善を求めるアジア初の最高裁判決で、同様の訴訟が起こされている台湾や日本にも影響を与えるだろうとロイター通信に述べました。

 判決は、50年までの実質排出ゼロ(炭素中立)を目標とする同法が、30年までの中間目標しか定めず、「50年までの持続的、継続的な削減を効果的に保障するメカニズムがない」と指摘。「将来世代への過剰な負担」が生じ、憲法上の権利が侵害されていると判断し、同法の26年2月までの改定を命じました。

 判決を聞いた原告や活動家からは歓声や拍手が上がり、涙を流す人も。環境保護団体「青少年気候行動」は、「気候危機の中、全ての命が適切に保護されることを認めた社会的宣言だ」と歓迎。環境省は、判決を尊重し、対応を検討すると述べました。

 世界各地で、より厳しい気候対策を求めて若者や市民が訴訟を起こし、画期的な判決も生まれています。欧州人権裁判所は4月、スイス政府の気候変動対策が不十分だとする市民の主張を認める判決を言い渡しました。


pageup