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2024年8月28日(水)

きょうの潮流

 それはヒトラーからの緊急の極秘命令でした。「もし、敵の手中に渡すときにはパリは廃虚となっていなければならぬ」▼第2次世界大戦末期、追いつめられたヒトラーは常軌を逸した命令を発します。当時、ナチスドイツの占領下にあったパリの街中には爆薬がしかけられ、花の都は風前のともしびともいえる状況にありました▼レジスタンスの蜂起や連合軍の進撃、結果的にヒトラーに背いたドイツ軍のパリ防衛司令官コルティッツの存在。いくつもの要因が重なって破壊を免れたパリで25日、解放から80年の節目を祝う記念式典が開かれました▼「パリは燃えているか?」。かつてヒトラーが、命令は実行されたのかと部下に問うたという言葉を引きながら、マクロン仏大統領はこう訴えました。「パリは燃えなかった。80年後、聖火と歓喜の夏に、オリンピックとパラリンピックの開催地であるパリに視線が注がれている」▼熱闘冷めやらぬパリに、ふたたび聖火がともされます。もともとパラリンピックは、第2次大戦で負傷した兵士のリハビリと社会復帰が始まりでした。そこから障害者の競技スポーツへと発展し、現在ではもう一つのオリンピックと呼ばれるほどに▼その価値や意義を通して世の中の人に気づきを与え、よりよい社会をつくるための社会変革を起こそう。それがパラリンピック運動です。パリ解放の時も歓喜の街を包んだのは革命歌ラ・マルセイエーズでした。戦火から聖火へ。いまも世界中の人びとが願っています。


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