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2024年8月27日(火)

主張

米不足と価格高騰

緊急対策と併せ抜本対策こそ

 「スーパーに米がない」「米屋も手に入らない」―。いま、主食の米が在庫不足に陥り、店先から消え、流通業者や消費者に深刻な混乱と不安を広げています。すべての国民が米を安心して確保できるようにすることは政治に迫られた緊急課題です。

 農水省の発表では、今年6月末の米の民間在庫は前年比41万トン減で、過去最低です。品不足を反映して、米の業者間の取引価格は前年の2倍近くに高騰しています。

■備蓄米を活用せよ

 この要因として農水省は▽昨年の猛暑による米の出回り量の減少▽コロナ後の回復・インバウンドによる需要増▽小麦など海外産原料の食料品価格が高騰するなかで、米の相対的な割安感が高まり消費が伸びた―などをあげています。

 南海トラフ地震臨時情報を受けた防災備蓄の増加も拍車をかけているとも伝えられます。

 ところが農水省は「米の需給がひっ迫しているとは考えていない」「新米が出回れば品薄感は解消される」と繰り返し、何の対策も取ろうとしません。現実に店頭から米が消え、多くの国民が悲鳴をあげている事態に目を閉ざしています。

 日本共産党国会議員団は23日、政府に緊急対策として、▽米不足の実態・実情を把握し関係者の声を聞く▽政府備蓄米の活用も含め、生産者団体や流通・小売業界と協力し店頭に米が十分に回るようにする―などを申し入れました。フードバンク・子ども食堂へ備蓄米を緊急に支給できるようにすることも求めました。

 こうした要求を、地域の米の卸・小売業者、消費者などにも呼びかけ、政府や自治体、関係団体に迫ることも急がれます。

■需給安定に責任を

 今回の事態の根本には米の需給と価格の安定に責任を持とうとしない自民党政府の農政があります。

 政府は「需要に応じた生産」の名で、米の消費が毎年減ることを前提に生産量の削減を現場に押し付けたうえで、需給と価格は市場任せにしてきました。

 米の収穫は基本的に1年に1回です。気象条件による生産の増減や、社会情勢、経済情勢の変化により需要と供給にギャップが生まれるのは避けられません。

 2021年産はコロナ禍で需要が大幅に減少したため、在庫がだぶつき、生産者米価が大暴落、米農家の1時間当たりの所得が10円という悲惨な事態が広がりました。

 そのもとで政府は、米が過剰だからと年間20万トン以上の減産を強い、在庫を減らしてきました。この結果が今年の米不足と価格高騰につながったのです。

 わずかの需給変化で米流通の混乱が発生し、価格が乱高下する現状は、米を市場にゆだねることの危険性を改めて示すものです。

 政府が米の需給と価格安定に責任を持ち、▽多少の不作や需要増でも不足しないようゆとりをもって生産量や備蓄を確保する▽豊作などで供給が上回った場合には国が買い上げ備蓄に回す―ことなどが必要です。

 将来にわたって米の安定供給を確保するためには、価格保障や所得補償などで農家が安心して米作りに励める条件を国の責任で整えることが不可欠です。


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