2024年8月26日(月)
自衛隊 「同志国」との訓練拡大
欧州各国・豪・インド・フィリピン…
米の対中戦略に同調 世界の分断加速
自衛隊と米国以外の欧州・インド太平洋各国軍が実施した共同訓練は2022年度で66回、計555日に上ったことが分かりました。いずれも米国の同盟国や「パートナー」と位置づけている国です。「同盟国・同志国」を総結集して中国に対抗する米戦略のもとで、自衛隊が「同志国」との連携を強め、軍事ブロックを拡大・強化していることが浮き彫りになりました。
本紙が防衛省への情報公開請求で入手した資料などをもとに集計しました。
国別では、オーストラリア27回、フランス19回、カナダ18回、韓国16回、インド14回、英国11回、フィリピン8回、インドネシア8回、ニュージーランド5回、ドイツ4回、イタリア2回、スペイン2回―などでした。
このうち米国も参加する多国間共同訓練は36回と半数を超え、内容も実戦的です。日米豪韓加の5カ国による共同訓練「パシフィック・バンガード22」では、陸上自衛隊と米海兵隊が共同して目標を捕捉、伝達し、各国海軍が艦砲射撃を行う訓練を実施。日米豪仏加5カ国の共同訓練「コープ・ノース23」では、防空、空対地爆撃、滑走路の復旧、救護など多岐にわたる訓練を行いました。日米の一体化が強まるもとで、実戦想定の訓練を繰り返しています。
訓練場所は、東・南シナ海が目立ち、自衛隊の演習場でも行われています。英陸軍との訓練は、相馬原演習場(群馬県)や白河布引山演習場(福島県)で実施。インド空軍との訓練を百里基地(茨城県)や入間基地(埼玉県)、小松基地(石川県)で行いました。
米国は欧州、インド太平洋の「同盟国・同志国との連携」で中国に対抗する「統合抑止」戦略をとっています。それを受け、安保3文書の一つ「防衛力整備計画」に、「二国間・多国間の共同訓練・演習を積極的に推進」すると明記。「軍事ブロック化」を加速させ、世界の対立と分断を強める動きです。
NATO軍の前線基地化も
|
さらに、今月に入って海自横須賀基地(神奈川県横須賀市)にイタリア海軍の空母カブールが入港(22日)。来年には英空母打撃群の入港も予定されており、北大西洋条約(NATO)軍の前線基地化が加速しています。