2024年8月26日(月)
自民党総裁選
古い政治そのまま
刷新感? 変わる? みなボス詣で
「自民党は変わる」「刷新感」などといって自民党総裁選に、候補者たちが次々と名乗りを上げています。しかし、その実態は、どの候補も派閥のボス詣でを繰り返し、お伺いを立てて、支援を求める自民党政治そのものの姿。安倍・菅・岸田と続いた12年間の自民党政治を変える展望を示す候補は誰一人いません。総裁選が、古い自民党の体質と政治を温存し続けるためのものでしかないことは、すでに明らかです。
岸田文雄首相が総裁選不出馬を表明して以後、小林鷹之前経済安保担当相、上川陽子外務相、河野太郎デジタル相は岸田文雄首相と面会。石破茂元幹事長と加藤勝信元官房長官、野田聖子元総務相は二階俊博元幹事長と会談しました。茂木敏充幹事長は菅義偉前首相に、加藤勝信元官房長官は森山裕総務会長に支援を要請しました。
岸田文雄首相は裏金事件を契機に、「派閥解消」を訴えたものの、総裁選をめぐって各候補はみな、旧派閥の領袖(りょうしゅう)の支持を取り付けるために躍起になっています。
各候補は「党改革、政治改革を成し遂げない限り、自民党に明日はない」(斉藤健経済産業相)「リーダーが変われば政治が変わる。地域づくり、国づくりが変わる」(小泉進次郎元環境相)「政治は変わる。自民は変わる。それを実現できるのは自分だ」(石破氏)など、みな口では「改革」を言います。しかし、集票活動や総裁選後の人事などが派閥の力学で決まる自民党政治の体質は何も変わっていません。
さらに、問題なのは、どの候補も岸田首相退陣の根本原因にまともに向き合っていないことです。
岸田首相の退陣は、統一協会との根深い癒着と裏金事件への国民の怒りが契機です。しかし、その根本には、安倍・菅・岸田と3代にわたって推し進めた「立憲主義破壊の大軍拡」「大企業本位の経済政策」の大破綻があります。
しかし、総裁選に名乗りをあげる候補は、いずれも12年間の安倍・菅・岸田政権で閣僚を務め、その政策を推進してきた当事者です。自民党政治の根本転換はできず、破綻した路線の継続、強行ばかりが競われることになります。
小林氏は総裁選に立候補を表明した記者会見で「緊急事態条項の創設と自衛隊明記は喫緊の課題だ。早期の発議に向け最大限の熱量をもって取り組む」と主張。早くも、総裁選で改憲を競いあう姿勢を示しています。
総裁選で、いくら表紙を付け替えても、安倍・菅・岸田政権の12年間の反省と政治の中身の転換がなければ、過去3代の政権の行き詰まりの道を繰り返すだけです。